IT投資に関する企業の意思決定プロセスに見る費用対効果の明確化と共有の必要性

2017年中堅・中小企業のITソリューション投資における意思決定プロセス

2017年3月に、調査会社である株式会社ノークリサーチのリリース記事に、中堅・中小企業のITソリューション投資における意思決定プロセスに関する調査報告書の内容が一部紹介されていました。

http://www.norkresearch.co.jp/pdf/2017IT_usr_rel2.zip

「中堅・中小企業に固有のIT投資における意思決定プロセスを理解することが大切」
として、以下の4点を挙げています。

(以下引用)

■「誰に訴求すべきか?」は「認知のきっかけ」「提案や計画」「判断/決裁」の役割で異なる
■ITソリューション投資の意思決定に関わる社内外の部門/人材や情報源は18項目に及ぶ
■年商5億円未満に対する「Webサイトで認知、経営層に直接訴求」は最善の施策ではない
■IT投資の阻害要因は「社内の人材不足」 「不明確な投資対効果」 「現状維持志向」の3つ
」(引用終わり)

特に「年商5億未満でも、経営層に直接訴求が最善ではない」(IT担当者を決めて対処の場合も多い)という点と、IT投資の阻害要因の「不明確な投資対効果」の2点に注目しました。

 

コスト低減と比較して分かりにくい市場創出やリスク管理への投資効果

IT投資に限らず、コスト削減のための投資は効果も分かり易いですが、将来に備えての投資やリスク管理(逸失機会の低減も含めて)は効果が見えにくいため、投資判断しにくいですね。

総務省の「ICT の経済分析に関する調査  平成27年度版」の以下のグラフからも、日本のIT投資が順調に伸び続けているわけではなさそうだということが見て取れるかと思います。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/ict_keizai_h28.pdf

費用対効果を知的資産経営の価値創出のシナリオで明確に

この、投資の費用対効果を考えるときにも、知的資産経営の手法は有効と思います。

将来の事業価値=お客様(市場)に提供する価値創出のシナリオを明確にすることで、取るべきコストやリスクと効果が見えてくると、

リスクを含めた費用と効果の双方が可視化ができること、また、これらのシナリオと費用対効果を社内で共有することで、ITを始めとする投資の判断につながると考える次第です。

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