企業向けハザードマップ事業にみる自社の知的資産活用と他業界との連携

TumisuによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

自治体向けハザードマップのノウハウを民間向けサービスに転用した事例。

地域全体に関わる防災情報やバリアフリー情報などの知見は、業界横断的な価値を持っています。

既存事業のノウハウ転用と他業界との連携の双方を組み合わせて事業を展開し、その地域でのプラットフォームやエコシステムの構築を目指すことは、地域に根ざした事業活動を展開するうえで一つの選択肢となるものと考える次第です。

 

● 自治体向けに培った災害ハザードマップの作成・評価ノウハウを企業に展開、事業継続計画の基盤ソリューション「ハザードマスター」6月1日よりイグアスがサービス開始

2019/6/11 株式会社イグアスは表記のリリースを発表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『株式会社イグアス(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:矢花 達也、以下イグアス)は、自治体向けに防災・減災サービスを提供するコンサルティング会社との提携により、2019年6月1日から企業向けハザードマップ作成&リスク評価サービス「ハザードマスター」の販売を開始、初年度100サービスを予定しております。

(中略)

イグアスは、従前から販売しているHigh Availability(高可用性)やDisaster Recovery(災害復旧)に対応する災害対応システムとそれらの拡張サービスであるハザードマップ作成評価サービス「ハザードマスター」を基盤として、お客様の事業継続マネジメント(BCM: Business Continuity Management)を幅広く支援してまいります。』

自治体向けのサービスで培ったノウハウを転用して、民間企業向けのハザードマップ作成とリスク評価を行うサービスの提供を開始するというものです。

同社サービスの詳細はこちら

『「Hazard Master」は拠点リスクを見える化し評価する事業継続計画(BCP)の基盤となる新サービスです。

地震、津波、液状化、洪水、土砂災害、高潮など、拠点や事業所毎の災害ハザードマップを作成し、専門の技術士がリスクを価します。

それにより事業継続計画の基盤となる拠点リスク情報の把握のみならず、防災施策や啓発活動にご活用いただけます。』

以前、企業の危機管理意識の問題として、自社の事業所や取引先のハザードマップを見たことことがない企業が多いという指摘を目にしたことがありますが、今回のようなサービスを通じて、企業の防災・BCPに関する意識と対応能力の向上が少しでも進むことを期待しています。

 

 

● 自治体向けの事業ノウハウを民間に転用

今回のサービスでは、自治体向けの事業ノウハウを民間向けに転用しています。

自治体という、特定地域の業界横断的な防災情報とノウハウの蓄積は、多くの業界との連携や、顧客も含めた防災対策という点で、企業にとっての価値も高いものと考えられます。

さらに、自社事業や業態の変化に連れて関係者・ステークホルダーも変化していく中では、新たな関係者も含めた防災・BCPに関する情報が必要となること、そのような情報を自前で収集することは困難なことからも、最初から地域全体について集められた防災情報や関連ノウハウの価値は今後さらに高まるものと予想されます。

 

 

● 防災等の社会全体での対応側からのプラットフォーム、エコシステム構築における自社の知的資産活用と他業界との連携

上記のような防災だけでなく、東急電鉄などは、地域活性化の一つとしてバリアフリーも含めたICT活用の実証実験に関するリリースを2019/6/7に発表しています。

『横浜市、東急電鉄、NTTドコモ、NTTが、住民主体のまちづくりの活動をICT・IoT技術で加速する新たな取り組み「データ循環型のリビングラボ」共同実証実験を開始 』

「まち歩きサービス」「地域チャットボット」という2つのICTサービスを提供し、その中でバリアフリー情報などのデータを収集・共有も住民と双方向で進めるとのこと。

住民参加型のサービスという点では、

『中部電力のIOTに見る既存インフラの活用と将来のインフラ整備』
でご紹介した、千葉市の「ちばレポ」というスマホで道路などの不具合を知らせて行政が対応するサービスと共通するものがあります。

上記のような防災情報や地域情報のマップサービスは、リアルタイムでの防災情報や、物流、交通情報との連携、エネルギーや医療インフラとの連携などによるサービス拡大も予想されるところです。

防災など、地域全体での取り組みという面からのプラットフォームやエコシステムの構築の可能性を感じると同時に、

イグアス社が自治体向けのノウハウを民間に転用した事例や、東急電鉄がNTTなどと組んで地域活性化に取り組んでいるように、

既存事業のノウハウ転用他業界との連携の双方を組み合わせて事業を展開し、その地域でのプラットフォームやエコシステムの構築を目指すことは、地域に根ざした事業活動を展開するうえで一つの選択肢となるものと考える次第です。

 

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● 本ブログの関連トピックス

『時代の潮流を探る方法-キーワードのヒント>防災技術』
震災への対策などで必ず出る議論の一つである「予測技術」。

台風の進路・土砂崩れ等の発生警報など、対応を取ることのできる時間の猶予を与えてくれる「予測」のニーズは高いものがあります。

また、SNSなどによる市民レベルでの情報発信とAI・IoTを組み合わせることで迅速・正確な防災情報の配信を図る技術など、社会課題と異分野のソリューションを組み合わせることで、新しいビジネスチャンスを探るヒントが見つかります。

 

『中部電力のIOTに見る既存インフラの活用と将来のインフラ整備』

電柱を活用した稲作支援、やスマートフォンによる市民からの社会インフラのトラブル情報提供、コンビニが新たな防災拠点としての役割を果たす可能性など、もともとの目的とは異なる機能を果たすインフラがネット、リアルを問わず現れて来ています。

自社の事業においても、事業に必要なインフラについて、コンビニ、スマメ、スマホ、学校など世の中に普及しているものを新しいインフラとしてその活用を考えることが必要となってきています。

『モランディ橋の崩落事故に考える「既存インフラと新技術の合わせ技」』
既存インフラの利用においては、AI・IoTなどの新技術、ユーザーのモバイルデバイスと組み合わせることで更に実現性が高くなります。

例えば、通行する自動車のドライブレコーダー、通行人のスマホなどの活用も始まっています。

こういった既存のインフラに、AIやIoT、LPWA(Low Power Wide Area)のような省電力型通信などを組み合わせて、今回のような社会課題を解決する方向に技術開発とビジネス開発がさらに進むことが期待されます。

 

 

『米国の寒波報道に考える非日常の顧客接点の確保方法』
防災において「災害の発生を前提とした対応(減災)」が求められており、そこでは有事の情報を、スマートフォンなど日常的に使っている情報デバイスから提供することも重要となっています。

この「日常からのユーザー接点確保」というのは、顧客の購買機会を逃さないという視点からは、防災に限らず、事業一般に通じるものとなってきます。

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