キプロスやヒースロー航空のパンデミック色分け対応に考える、民間の取り組みを標準化に繋げる仕組み

キプロス

【今日のポイント】

各国の新型コロナへの対応において、ワクチン接種率の向上や他国の関連情報の収集と活用は重要な課題となっています。

そこでは行政だけでなく、現在民間企業が進めているヘルスケア事業のビッグデータの活用なども含めて、自社事業の外部環境要因として情報収集し、自社への影響の予測に利用することの必要性が高まっていると考える次第です。

 

【目次】

1.キプロス政府やヒースロー空港のパンデミック対応
2.スマート行政などの行政効率化がワクチン接種率と経済回復に与える影響がを高まる可能性
3.パーソナルデータの活用と標準化や、カントリーリスクとの組み合わせの広がりを、自社事業への外部影響要因として把握する

 

1.キプロス政府やヒースロー空港のパンデミック対応

2021/3/5の在キプロス日本国大使館のサイトに以下の記事が掲載されていました。

『新型コロナウイルス関連の最新情報(キプロス入国における新たなカテゴリーの設定及び入国条件:3月1日以降)』
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『キプロス政府は、3月1日以降、新たな国別のカテゴリー方法として実施する、欧州疾病予防管理センターの評価基準に準じた色分けシステム(各国をグリーン、オレンジ、レッド、グレーに分類し、現在日本はグレーに分類されています。)の詳細について、追加発表いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。』

入国条件として、以下の4項目ごとに、色別にその適用の有無が分類されています。

1.出発の24時間前までにCyprus Flight Passに登録する
2.出発前の72時間以内にPCR検査を受検する(自己負担)
3.キプロス到着後にPCR検査を,受検(自己負担)
4.到着後の自主隔離が必須

入国条件 グリーン オレンジ レッド グレー
出発の24時間前までにCyprus Flight Passに登録する Yes Yes Yes Yes
出発前の72時間以内にPCR検査を受検する(自己負担) No Yes Yes Yes
キプロス到着後にPCR検査を,受検(自己負担) No No Yes No
到着後の自主隔離が必須 No No No Yes

 

2021/3/5の在キプロス日本国大使館の上記記事より作成)

なお、以下のようにこの色分けについて、欧州似関しては欧州室病予防管理センターのカテゴリー分類を利用しているとのことです。

『2021年3月1日から、スイスを含む欧州連合(EU)と欧州経済圏(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)の国々ついては、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が実施する国・地域別の感染状況に応じたグリーン、オレンジ、レッド、グレーのいずれからのカテゴリー分類に従ったカテゴリー別の措置を講じることとする。

ECDCが毎週発表する感染状況地図:
https://www.ecdc.europa.eu/en/covid-19/situation-updates/weekly-maps-coordinated-restriction-free-movement

すべての渡航国一律ではなく、各国のリスク毎に対応を分けて効率化を図る試みとして、その効果や今後の対応の変化(日本のカテゴリーなど)に関心を惹かれる次第です。

同様の試みは、英国ロンドンのヒースロー空港でも始まっている事が、以下の記事などで報じられています。

『英政府、海外渡航再開へコロナ対策の枠組み発表』

2021/4/9のNewsweekの記事。

『英政府、海外渡航再開へコロナ対策の枠組み発表』
2021/4/9のロイターの記事。

人口あたりのワクチン接種率や感染率に基づき国ごとに新型コロナのリスク度を色分けして、検査等の対応を分類するとのこと。

今までの一律検査では、かなりの混雑で批判を浴びていたようですので、効率化と利用者の安心感醸成などの点で、どれだけ効果を上げるか要注目と考える次第です。

 

 

2 スマート行政などの行政効率化がワクチン接種率と経済回復に与える影響がを高まる可能性

『コロナワクチン争奪戦の「勝者」 接種率65%を誇る意外は国とは?』

2021/3/30のNewsweekに上記の記事が掲載されていました。
ワクチンの接種率では現在英国がかなり進んでいることは各種メディアで報じられていますが、その英国以上に高い接種率を誇る国が、セーシェル、イスラエルとのこと。

以下の記事にみるように、人口と国土の関係や、ワクチン外交、外出等の制限措置との組み合わせの成功など、複数の要因が重なった結果かと思いますが、行政の果たす役割の大きさを改めて印象付けられた次第です。

『中国製コロナワクチン接種率が高いチリ、感染が再拡大…他国でも感染者数が減少せず』
2021/4/10の独立行政法人経済産業研究所のコンサルティングフェロー藤 和彦氏のコラム記事。

『最も成功を収めているのはイスラエルである。ワクチン接種のおかげで今年2月から段階的に制限を緩和し、飲食店などの商業施設や公共施設はほぼ正常に運営されている。』

上記の記事などからは、今後「外交とワクチン生産能力に加えて、スマート行政などの行政効率化がワクチン接種率と経済回復与える影響を高める」事も予想できるかと思います。

以下の、世界各国のワクチン接種率を見ると、やはりイスラエルやセーシェルは大きく他を引き離している様子が見て取れます。

『新型コロナウイルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』
ワクチン接種率は、人口やに対するワクチン供給量と国内でのワクチン接種体制の双方が大きな影響を及ぼすものと考えますが、

前者については、自国でのワクチン生産能力に加えて外交面(海外からの供給)が大きく影響することが以下の記事からも窺えるかと思います。

『ワクチン外交でインドが中国に勝る 巨大設備で無償提供、供給量もリード (1/2ページ)』
2020/3/20 SankeiBizの記事。

 

また、英国のワクチン接種率の高さの要因の一つには、同国は医療制度が比較的充実しているのではないかと、(かなり昔になりますが)2年ほど滞在していた時に受けた印象から考えています。

 

同様に、今後ワクチンの供給量が増えてきた際には、輸送から接種までの国内体制が、ワクチン接種率やその後のケアなどに及ぼす影響が相対的に大きくなり、そこではスマート行政などの行政効率化の果たす役割も増大するものと予想した次第です。

 

3.パーソナルデータの活用と標準化や、カントリーリスクとの組み合わせの広がりを、自社事業への外部影響要因として把握する

上記のように行政の果たす役割は大きなものがありますが、

今後は、Amazonやアップルなどが進めているヘルスケアにおけるビッグデータの活用などをみると、

「パーソナルデータの活用と利用時の標準化が公衆衛生や健康管理の分野で民間の力で進む」事も想定しておく必要があるかと思います。

 

前述のキプロスやヒースロー空港の対応のように、国を跨いだ移動などにおいては、その規制の判断基準は国際的な標準化が重要であり、恣意的な運用のリスクを避ける必要があると思います。

 

一方で、以下の記事にみるような、QRコードの活用の様に、民間や個別の国ごとの取り組みも、個別の状況に応じてタイミングよく的確な対応を講じるためには重要な役割を果たして行くと思います。

『「QRコードを利用した新型コロナウイルス対策」』
2021/3/12 一般財団法人 自治体国際化協会のメールマガジン・バックナンバーサイトより

『レストラン等におけるQRコードの活用については、2021年1月1日より、NSW州政府の公式QRコードシステムの利用が義務化され、同州保健局がより速やかに接触者を追跡でき、同時に個人情報保護に資する仕組みになりました。』

 

『パンデミックにおけるQRコード決済の実用性』
JCS研究会2020論文発表サイトより

そして、これら個別の取り組みの結果や知見を、Facebookやアップルが行っている様なグローバルなパーソナルデータと組み合わせる事で、パンデミック対応を始め、国際的な標準化などにつながって行く可能性も想定できるかと思います。

 

この様な行政のスマート化含めた外部要因は、観光業の様な直接の需要だけでなく、サプライチェーンへの影響、経済活動が活発化した他国からの自社の競合の参入なども含めて、今後の事業環境の重要な変化要因としてもウォッチし、その結果をSWOT分析などで整理しておく事をお勧めする次第です。

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