世界幸福度ランキングに考える、バイアスの課題とKPI設定

RilsonavによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

3月に発表された2019年度の世界幸福度ランキング。
日本は58位と残念な結果に終わりましたが、このランキングの作成方法自体にも課題はありそうです。

指標作成時の各種バイアスの影響などは、企業におけるKPIの設定と評価時にも注意すべき点と改めて感じた次第です。

 

● Happiest Countries in the World / 世界で一番幸せな国

2019/9/10の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。

この幸福度ランキングは、ウィキペディアによれば、

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する、幸福度調査のレポートである。

この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値である(データはギャラップ社によるもの)。

報告においては、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて回帰分析し、各説明変数の寄与を求めて分析している。

(中略)

データでは150以上の国や地域を対象としている。それぞれの国の幸福度は0~10の値からなる各個人の回答の数値の平均値である。

説明変数は

1.人口あたりGDP(対数)
2.社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)
3.健康寿命
4.人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)
5.寛容さ(過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか)
6.腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか) 』

出典>ウィキペディア
と、アンケート結果をさらに6つの要因の寄与度を含めて分析しているとのことです。

残念ながら、2019/3/20の2019年版レポートでは、日本は過去最低の58位(昨年54位)とのこと。

ここ数年海外に出ていないので実感は湧きませんが、そこまで幸福度が低いのかと微妙な気分を感じました。

 

統計利用時の課題と新技術への期待

今回の記事からはこの世界幸福度ランキング自身とは別に、『感性や感情に根ざしたランキング測定や比較指標に関する新しい手法の開発』が予想できるかと思います。

今回のランキングを見ると、安全、安心への社会的なニーズが高まっており、そのニーズを満たしている国が(税などのコストはかかりますが)高い評価を得ています。

一方、ランキングの測定方法自体についても、アンケート手法の限界等、色々な課題があるようです。
『国連幸福度ランキングは、どう偏っているのか。 ? 本田康博(証券アナリスト)』

アンケートへの回答におけるバイアスと、そのバイアスの強さの地域性や国民性による違いなどが、幸福度という、ある程度主観的な指標を図る上で、大きな影響を及ぼしていると感じました。

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』に、収入と生活様式の相関性はグローバルに共通しているとの指摘がありましたが、

このような、地域性の影響が少ない指標や、SNS等による人々の普段の言動から幸福度を測定するという手法(TwitterのツイートデーターからAIで感情を分析している研究例なども目にします)など、

現在働き方改革などで取り入れ始められているAI・IoTを活用した人々のコミュニケーションの活性度や充実感、生産性の把握方法の転用なども含めて、幸福度ランキングの測定方法の改善に取り入れられる可能性を感じた次第です。

 

● KPI設定とバイアス

幸福度ではありませんが、近年導入が進んでおり、知的資産経営報告書においても重要な項目の一つであるKPIについては、業種・業態によって「率」を使うか、「絶対値」を使うかなど、業種の特性によっても、KPIの設定は異なってきます

また、自分(自社)がコントロールできるものをKPIに設定することも重要な視点かと思います。

上記のような、統計やランキングなどのデータや指標を作成するとき、および評価するときのバイアスという視点も含めて、KPIの設定には気を付けねばと改めて感じた次第です。

 

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