SWOT分析の、知的資産経営における作成と利用のヒント(1)
【今日のポイント】
SWOT分析は、色々な場面で登場するツールで、自社では作成はせずともお耳にしたり、ご覧になった方も多いかと思います。
今回は、今までも何回か本ブログで取り上げてきたSWOT分析を、「自社の見えない強み」を可視化し、活用する知的資産経営の視点からみた作成面・活用面について、2回に分けてお話してきたいと思います。
【目次】
1.知的資産経営ツールで利用するSWOT分析の特徴
2.SWOT分析における材料集めと整理のヒント:報収集のためのアンテナを張る
2-1.社内の情報
2-2.社外の情報
2-3.社外情報のアンテナの張り方(情報収集方法)~ツールとその使い方~
【今日のまとめ】
本ブログトピックスでは、知的資産経営報告書や経営デザインシートなどの、知的資産経営ツールを、知的資産経営だけでなく、人材育成、マーケティング、未来予測その他の普段の事業活動などでも利用することについてお話してきましたが、
その知的資産経営ツール自体を作成する際に利用する重要なツールの一つとしてSWOT分析があります。
例えば、経営デザインンシートですと、
『経営をデザインする』(知的財産戦略本部サイト https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/ )の中では、
『作成補助シート3』として、SWOT分析を、
PDF版( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/siryou6.pdf )
、PPT版( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/siryou6.pptx )で掲載しています。
上記シート自体は、オーソドックスなSWOTの形式(内部環境としてS=強みとW=弱み、外部環境としてO=機会、T=脅威)で、その欄に入力した中から、知財(知的資産)関連部分をマークして利用するというものですが、
SWOT分析は、以下のような社内外の環境分析とその変化の予測から、価値創造ストーリーを描く中で、主に前半の環境分析とその変化の予測において使われます。
このSWOT分析の際に、知的資産経営報告書や経営デザインシートなど、知的資産経営ツールとして、普段の事業・経営診断とは異なる部分も出てくるかと思います。
その違いの一つとしては、現在と過去の振り返りとともに、自社の将来像の策定に必要な情報と分析の比重が大きくなること、
また、過去から将来に向けての時間的な変化の視点も重要視されることなどがあるかと思います。
これが、集める情報の時間軸、分野にも影響してきます。
今回は、社内外の環境分析の材料となる情報の集め方や分析の視点に関してお話しますので、ご参考になれば幸いに存じます。
2.SWOT分析における材料集めと整理のヒント:報収集のためのアンテナを張る
「SWOT分析における」と記載しましたが、SWOT分析の「ため」ではなく、普段から社内外の情報を収集・分析することは必要ですし、何らかの形で行っていらっしゃるかと思います。
以下では、社内外のどんな情報をどのように集めるかについて、そのポイントをお話しいたします。
上記の通り、SWOT分析では、社内情報はS(強み)とW(弱み)に相当する情報になります。
社内の人材(現在の人材が持つスキルなどに加えて、自社の人材確保・育成に関する制度など)、
体制(設備やシステム、ルール・規則などの仕組み)、
現在の売上や損益などの財務情報、
自社商品・サービスなどの内容、現在の顧客への提供方法(流通経路)、
マーケティングや営業の顧客などの営業情報の流れに関する情報などがあります。
知的資産の種類で言えば、主に人材などの人的資産と、企業の保有する特許や社内の仕組みなどの構造資産の分野の情報となります。
上記の情報を集める際のポイントとしては、あまり「これは強みだろうか、弱みだろうか?」は意識せずに、客観的な事実を収集するという姿勢で望むことが良いと思います。
これは、外部環境などが変化すれば、今までの強みが弱みに、あるいはその逆に変わるということも出てくるからです。
なお、定性的な情報と、定量的な情報の双方ともに重要な情報ですので、どちらかに偏ること無く集めておくことをおすすめします。
社外情報は、SWOT分析ではO(機会)とW(脅威)に相当する情報になります。
ここで、分析手法から集める情報の分野を考えれば、PEST分析のような、
政治、経済、社会、技術の分野、
5F分析のような、自社の上流・下流の取引先、競合や新規参入者などに関する情報ということになるかと思います。
知的資産経営でいえば主に関係資産に関するものとなりますが、人的資産や構造資産に影響を及ぼすような要素があれば、それも集めておく必要があります。
ここでも、「これは機会だろうか、それとも脅威だろうか?」と悩むことがあるかと思いますが、まずは自社に影響を及ぼす要素になるかどうかに焦点を当てて、採用の可否を判断することが効率的です。
2-3.社外情報のアンテナの張り方(情報収集方法)~ツールとその使い方~
こでは、社外情報の収集のポイントについてお話ししいたします。
情報収集の枠組み(どんな項目・分野について情報を集めるか)については、2-2.でお話したように、従来の分析手法を参考に、自社に必要な情報の分野をまず特定しておくと、効率的な情報収集につながるかと思います。
● 情報収集自体の組織化・共有
また、特定した情報分野は、大谷翔平選手でも有名になった、マンダラ形式のフォーマットなどで可視化し、社内で共有しておくことも有効かと思います。
上記のように分野が決まれば、その分野で重要な情報源は何かを検討して、その情報源もデータベース化しておくことが、情報収集のアンテナを組織的に張ることにつながるかと思います。
なお、現在は、今までとは異なる外部環境が自社に影響を与える場面が増えてきますので、アンテナは分野横断的にも、中長期という時間軸の面でもなるべく広めに貼っておくことをお勧めいたします。
以下では、上記のアンテナを張る際のツールとして、私が主に使っているものをご紹介します。
● メルマガとグーグルアラート
まず、ネットからの情報収集としては、主に2つの方法を使っています。
一つは、ビジネス系のメルマガ、もう一つはグーグルアラートで、
メルマガは、古いものですと2005年頃から、グーグルアラートは2013年頃から使っています。
メルマガでは、主に以下のメルマガにお世話になっています。
ビジネス知識源 http://www.mag2.com/m/P0000018.html、
ビジネス選書&サマリーリーダーズ http://www.mag2.com/m/P0000498.html、
田中宇の国際ニュース解説 http://www.mag2.com/m/0000023713.html、
ロシア経済ジャーナル http://www.mag2.com/m/0000012950.html
耳からといえば、
「1日5分ビジネス英語」も、単に英語の学習というよりも、最新の時事ネタと、ナレーターのマット竹内さんの解説が大変面白いので毎日愛聴しています。
https://matt-english.com/category/podcast
また、人脈やコミュニティからの情報収集も非常に重要ですが、
こちらの方は、主に士業関係の研究会などが多く、中小企業診断士などの研究会に参加して、講演を聞いたり、自分も(たまに)発表したりしながら、色々と学ばせていただいています。
● 情報収集のテーマはアウトプットから考える
これは、いわゆるアンテナの張り方の問題であり、
グーグルアラートのキーワードが一番分かりやすいかと思いますが、
情報収集のテーマ(何について調べるか、情報を集めるか)は、
どんなアウトプットをしたいかから逆算して決めることが重要かと思います。
事業で言えば、現在の事業分野の計画立案や軌道修正がアウトプットとなりますし、
営業面では顧客向けの情報提供などもアウトプットの一つかと思います。
ここまででだいぶ長くなりましたので、
他の分野からヒントを得る方法や、外部の支援の利用、集めた情報の分析・解釈の方法などは次回にお話しいたします。
なお上記の内容について詳しく知りたい方は、以下の無料でご提供中の小冊子に記載しておりますので、ご覧いただければ、大変幸いに存じます。
『知的資産経営のツールの使い方~SWOT 分析と価値創造ストーリー』
詳しくは、以下からご覧ください。
『知的資産経営のツールの使い方~SWOT 分析と価値創造ストーリー』小冊子の詳細・申込はこちら
https://wp.me/P9D2bS-24S
また、上記の小冊子作成後に掲載した以下のブログトピックスもご参考になれば幸いに存じます。
『経営デザインシート作成テキストから考える、「キーワードの選び方と組み合わせ方」』
https://wp.me/p9D2bS-27x
『未来予測におけるフレームワークや情報源のブラッシュアップとプランBの必要性』
https://wp.me/p9D2bS-2eI
『Q&A>未来予測に必要な「見える化」の対象にはどんなものがあるか?』
https://wp.me/p9D2bS-2hf
・経営分析の手法であるSWOT分析は、自社の「見えない強みを可視化して活用する」知的資産経営でもよく利用されている。
・通常の経営分析との違いの一つとしては、現在と過去の振り返りとともに、自社の将来像の策定に必要な情報と分析の比重が大きくなること、
また、過去から将来に向けての時間的な変化の視点も重要視されることなどがある。・上記の特徴から集める情報の時間軸、分野にも注意が必要。
・社内、社外の情報とも、社内の強み(S)と弱み(W)、外部環境の機会(O)と脅威(T)について、外部環境の変化により、自社の強みと弱みも入れ替わるなどの変化が起きること、外部環境の捉え方も変化することを念頭に、最初は分類を気にせずに視野を広げて情報を集める事が重要。
・情報収集のツールはグーグルアラートなど色々とあるが、収集する情報のテーマ(キーワード)は事業計画などのアウトプット(情報の使い方)から考えることが重要。
★ 以下のランキングに参加しております。ぜひ、クリックよろしくお願い申し上げます(^^)!
=======================================
★ ブログの内容などについてお気軽にご質問ください。メルアドや本名は【不要】です。
ご質問には、本ブログからお答えさせて頂きますので、よろしくお願い申し上げます。
匿名でのコメント、ご質問はこちらからhttps://chitekishisan.com/comments-2/
=======================================
※>本ブログのトピックスの中で紹介している事例の中で取り上げているサービスや商品等は、解説のための参考として挙げたもので、
当研究所として推薦するものではありませんので、他の選択肢や導入の要否含めて、自社の状況に応じてご検討いただければ、大変幸いに存じます。