凸版印刷やNECの社会インフラ事業に見るAI・IoT活用と、都市間競争の促進

Claude MondestinによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

凸版やNECによる社会インフラの維持・管理へのAI・IoT適用。

日本政府も、「統合イノベーション戦略推進会議」の中で取り組み方針を打ち出しています。

今後、社会インフラへのAI・IoT適用の競争が国家間、都市間で加速し、企業活動にも影響を与えるものと考える次第です。

 

イクシスと凸版印刷、社会・産業インフラの施工から点検・維持管理までの生産性向上に向けて協業

2019/7/8 凸版印刷は表記のリリースを公表しました。

副題に
『~点検ロボットと三次元形状生成エンジン及びデータ解析サービスを連携し、「社会・産業インフラ向け三次元形状計測・生成・解析プラットフォーム」の共同開発を開始~』」と記載されています。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『本協業では、イクシスが提供するインフラ点検ロボット及びAIを活用した取得データ解析サービスと、凸版印刷が提供するデジタルカメラで撮影した画像から高精度な三次元形状モデルを自動生成できるエンジンを連携し、橋梁・道路・電力・鉄鋼・プラント等といった社会・産業インフラの施工から点検・維持管理までの生産性向上を目的として、次の2点を兼ね備えたプラットフォーム実現を目指すものです。

1)ワンストップでの支援

ロボット等によるインフラデータ取得から、モデリング、損傷画像等の一元管理、レポーティング向けリッチデータ化、画像計測技術を用いた三次元成果品※1納品等のデータ作成、ビューア機能までをワンストップで有したプラットフォーム構築を目指します。これにより、各工程データのデジタル上での一元管理、点検・診断画像や三次元形状の高品質な蓄積データによる損傷等の経年変化の把握を可能にし、社会・産業インフラの点検・維持管理領域における生産性向上やインフラの予防保全等を実現します。

2)国産プラットフォームの構築

橋梁・道路・電力・鉄鋼・プラント等といった国内の重要なインフラデータを取り扱うことを想定し、日本の社会・産業インフラの施工から点検・維持管理に必要な機能を有した国産プラットフォームの提供を目指します。』

上記記事のプラットフォームの概要図はこちら

ドイツでは猛暑によるアウトバーンの損害が報じられていますが、社会インフラ維持・整備へのAI・IoT適用が加速することを期待する次第です。

・『欧州で猛暑 ドイツやチェコで史上最高、フランスは「命の危険」』

・『ドイツのインフラ、猛暑に対処できず』
2019/7/13の1日5分ビジネス英語。

 

 

社会インフラの温暖化と老朽化への同時対応へのAI・IoT適用の加速

上記の一連の記事からは「社会インフラの温暖化と老朽化への同時対応へのAI・IoT適用」が加速していることが窺われるかと思います。

今回のドイツのアウトバーンや日本の交通インフラなどは、温暖化対応に加えて老朽化や人口減少社会におけるインフラ維持への対応を同時に進めなくてはならなくなっており、そこにAI・IoTを適用することが既に進められています。

政府では、「統合イノベーション戦略推進会議」に置かれた「社会インフラ第3回 イノベーション政策強化推進のための有識者会議「AI戦略」(AI戦略実行会議)2019/03/15の中で、

AI 技術の利活用では米中が先行し、

欧米、アジアでは、都市全体の構造化を念頭に、大規模かつ先端的なビジネス、サービスを実装する、都市の価値創造競争が激化している

との現状認識のもとに、

『アーキテクチャ設計に基づくデータ基盤を踏まえた、AI
社会実装を、まずは①健康・医療・介護、②農業、③国土強靭化、④交通インフラ・物流、⑤地方創生(スマートシティ) の重点5
分野で、世界に先駆けて実現。また、ものづくり、金融等その他の分野についても実現に向けて取り組む』

との目標を掲げ、

国土強靭化(老朽化、人口減少対応)、交通インフラ・物流については、

『・ 国土強靭化分野では、低維持補修コストでインフラの安全を担保するための、国家的システムの導入と、それに向けた国土に関連する各種データの管理・連携

・交通インフラ・物流分野では、物流・商流に関するデータの基盤構築の検討、他分野データ基盤との連携、物流分野の自動化等による、物流の生産性向上・高付加価値化とサプライチェーン全体の効率化と、全ての人が、現在の社会コストを上回ることなく、自由で安全な空間移動を実現』

を挙げています。

また、民間も含めた温暖化対策としての社会インフラへのAI・IoT(ICT)適用については、スマートシティ、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、インフラの監視とBCP対応などの分野が以下の記事などに紹介されています。

・『温暖化ビジネスの挑戦者たち-「緩和と適応」を考える②【IoTAI活用編】』

 

・『気候変動への適応に向けてICTができること』NECサイト)

 

『インフラ機能停止 極端な気象現象によるインフラ等の機能停止のリスク』NECサイト)

上記の記事にみるのような地球温暖化やインフラ老朽化などの被害の顕在化が進むに連れて、行政・民間ともAI・IoTなどの技術活用を急ぎ、それが更に技術の発展を促す循環が加速していき、

それがAI戦略実行会議の中の記載や、以前の本ブログのトピックス

・『グローバル化の進展による地域間の国際競争の変化の捉え方』

・『グーグルマップからの都市ランキングにみる新しい都市の格付け競争の予感』
などにみられるような、新しい都市計画や、都市間の競争の促進にも繋がっていくものと考える次第です。

 

本ブログの関連トピックス

『グローバル化の進展による地域間の国際競争の変化の捉え方』

巨大旅客機エアバスA380が2021年に製造を停止するとの発表は、直行便による都市間交通の活性化とそれに伴う国境を超えた地域間競争の激化を予想させます。

空飛ぶ車のような、新しい交通手段も含めて、都市内、都市間の移動・輸送(ロジスティクス)の全体戦略の巧拙が非常に重要になってきていると感じます。

 

『グーグルマップからの都市ランキングにみる新しい都市の格付け競争の予感』
グーグルマップの画像とAI解析に、行政などがもつデータ(今回は肥満率)を組み合わせることで、新たな知見や評価手法が得られるという事例。

企業においても、自社の市場環境、社内の人材の働き方の環境、取引先の環境など、色々な視点からの環境評価が都市の画像解析との組み合わせで可能になる事を想定して、今後の事業環境の評価手法についてアンテナを張っておくと思わぬ環境予測が出来る可能性を示唆しています。

 

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