3Dプリンターにみる、商品展開の想像力の重要性と課題設定のポイント

【今日のポイント】

3Dプリンターは今や環境問題、高齢者問題、医療分野など幅広く展開されています。

このような新技術の成長性(ポテンシャル)を早期に把握するには、普段から上位概念のキーワードで自社事業や商品を捉えて情報収集することが有用と考える次第です。

 

● 3Dプリンターを発明した日本企業が世界シェア3%しかとれなかった理由

2019/10/13のZUU_ONLINEに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『新聞報道などで、3Dプリンターを世界に先駆けて発明したのが日本企業であることを知る人は多いだろう。

ところが世界市場において、日本のシェアはわずか3%程度。日本は、3Dプリンターの成長可能性を見抜けなかったため、基本的な特許は存在したが、その重要性が理解されず、必要なケアがなされなかったのだ。』

正林 真之氏(正林国際特許商標事務所所長・弁理士)の著書『人生とビジネスを豊かに変える 知財マネタイズ入門』
の紹介記事。

知財に限らず、画期的な商品やサービスほど、その展開を構想して適切な課題を設定する事の重要性と困難さを感じます。

 

環境問題と3Dプリンター

2019/10/8の1日5分ビジネス英語のチューリッヒでは、『環境問題への意識が高まる企業たちのトピックスの中で、

『デジタル処理により建設された最初の家はチューリッヒにあり、その天井部は3Dプリンターにより作成され、また同現場では梁と省エネルギー壁の工事にロボットが使用された。

この技術の使用はつまり、通常資材と物資の運搬のため排出される二酸化炭素量が削減されることを意味する。他の企業にも、より持続的に建築物を作り上げるため、この取組みに参加することが願われる。』

と3Dプリンターによる住宅建設が、建設資材の輸送によるCO2の排出削減に効果を上げる例を紹介しています。

以前、『プラスチックごみ問題にみる、3Dプリンターへの期待』
で、環境問題にける3Dプリンターの需要側での製造による貢献を取り上げましたが、このように3Dプリンターの環境問題への貢献の期待は高まっています。

 

Dプリンターの適用先の広がり

上記のような環境問題対応だけでなく、

3Dプリンターによるバチカン衛兵のヘルメットにみる伝統的デザインの活用方法』
で、3Dプリンターによる伝統的デザインの利活用を、

『臓器を作る3Dプリンターにみる人体のデジタルアーカイブ化の進展』
で医療分野での3Dプリンターの展開、

『3Dプリンターにみる人的資産の構造資産化』
で、3Dプリンター用のデータによる暗黙知の形式知化などをご紹介してきたように、

3Dプリンターの適用先は大きく広がっており、正林氏の指摘通り、その潜在価値や成長の可能性は大変大きなものであったことが窺えます。

 

商品やサービスの特性、価値を上位概念で考える

上記のような、新技術や新商品の成長性・ポテンシャルを把握することは、他分野への展開だけでなく、既存市場と新規市場双方での競合(プレーヤー、技術、商品)の想定やその対策としての知財戦略や事業提携にも大きく関わってきます。

また、事業環境の変化や技術革新が急激に進む中では、その把握と対応にはスピードも必要となってきています。

このような状況の中では、普段から自社事業や商品などの上位概念のキーワードで情報を収集することが大切かと思います。

3Dプリンターで言えば、
「需要側での製造」、「ラストワンマイルの解消」、「製造情報のデジタル化」などもそのポテンシャルを考える上でのキーワードとなるかと思います。

『新サービスを考える方法>キーワード>ラストワンマイルからラスト3メートルへ』
でもご紹介したように、「ラストワンマイル」という概念は高齢者に取っては「玄関から食卓まで」となる場合も出てきます。

このように、幅広い概念で自社事業や商品を捉えて、そのキーワードで情報収集を普段からしておくことが、自社商品のポテンシャルや、潜在的な競合の把握に有効な手段であり、知的資産経営報告書の作成時にも役立つものと考える次第です。

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