経営デザインシートにみる、時間軸でのビジョンの可視化と共有の重要性

【今日のポイント】

内閣府が利用促進を進めている「経営デザインシート」。

企業経営を「価値創造のメカニズム」という視点から、現在までと将来像を描き、そのギャップを埋めるための戦略を検討するためのツールとなります。

知的資産経営報告書などと同様に、今後要注目の、経営の「みえる化」ツールの一つです。

 

次の成長 知財でつかむ 内閣府の「経営デザインシート」

2019/10/27の日本経済新聞に表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『企業のビジネスモデル変革を促すツール「経営デザインシート」の利用が広がりつつある。内閣府知的財産戦略本部がつくった原型をもとに大企業がM&A(合併・買収)や新規事業の開発、中小企業は事業承継などに活用している。最新の動向を追った。(編集委員 渋谷高弘)』

実際に経営デザインシートを作成した企業の社長の声や内閣府の動きが掲載されています。

知的資産経営報告書と同様に、経営の過去から将来までの流れ全体を見える化し、社内外と共有するツールとして要注目ですね。

経営デザインシートとは

経営デザインシートについては、
『知的財産推進計画2018にみる知財の価値の範囲拡大と評価ニーズの高まり』
などのトピックスでもご紹介しましたが、

内閣府の知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会における知財のビジネス価値評価検討タスクフォース(価値評価TF)で検討されたものです。

経営デザインシートに関する知的財産戦略本部のサイトはこちら
『経営をデザインする (知財のビジネス価値評価)』

経営デザインシートの記入要領は以下に記載されていますが、
全社用と事業用の2つに分かれていて、それぞれ、シート1枚にまとめられるようになっています。

経営デザインシート記載要領
一見すると、「事業価値を高める経営レポート」にも似ていますが、知的財産戦略本部の説明資料によれば、

『境変化に耐え抜き持続的成長をするために、
自社や事業の
(A)存在意義を意識した上で、
(B)「これまで」を把握し、
(C)長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想する。
(D)それに向けて今から何をすべきか戦略を策定する。』

と企業理念やビジョンに根ざして将来有りたい姿と現在の姿を明確にし、両者のギャップを埋めるための戦略の策定に活かしていくというツールとなります。

「みえる化」のツールとその活用

『経営設計図を使った経営デザイン認証制度にみる見える化のツールの多様化』
でもお伝えしたように、

経営デザインシートや、知的資産経営報告書、ローカルベンチマークなどは、経営を、「価値創造のメカニズム」という視点から、時間軸に沿って「みえる化」するツールとなります。

もちろん、企業の将来像や今までの経緯、経営戦略の詳細は1枚のシートに書ききれるものではありませんが、

過去から将来に渡って一度に俯瞰し、さらに社内外と共有するツールとして、今後活用が進むものと考えられます。

この経営デザインシートとその使い方については、今後折を見て、連載形式で取り上げられればと考えているところです。

 

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