「相続の6つの物語」から考える「物語で語る効果」

● 「相続の6つの物語 資産を使って楽しく生きる「自遊自財」
(本郷尚著 日本経済新聞社)

Kindle版

先日、表記の本を中小企業診断士の先輩から紹介いただき読んでみました。

著者の本郷氏(税理士)は、株式会社タクトコンサルティングを設立し、不動産活用、相続、贈与、譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開されている方です。

6篇それぞれが、サラリーマン、中小企業の社長さんなど色々な立場、状況での引退や事業承継(あるいは解散)について、具体的・実践的な方法を物語仕立てでわかり易く提示しています。

この本には、困っている主人公や家族を助ける専門家として、城所さんという税理士が登場します。

このようなストーリーを読むと、「自分も中小企業診断士、行政書士としてこんな
ふうにお客さんの役に立ってみたい」と感情移入もしながら、一気に読んでしまいました。

 

● 家族(特に奥様)の意見、対応に着手する年齢

同書には、
・「老いては妻に従え」(奥さんの方が実生活や現実を見ているし、家族や家庭のこともよくわかっているので、奥さんの意見に従うほうが良い)

・「家や会社の売却など、資産の組み換えは気力・体力のある60代のうちにやっておく。人にもよるが、事業承継に限らず、生活を大きく変えるような対応は年をとるとできなくなる」

・「人生にも賞味期限あり。65歳から80歳までの15年間が人生のゴールデンタイムなのでそこを悔いなく過ごす準備が必要。」

など、個人の人生設計の面でも、企業の事業承継などの面でも非常にわかり易く、示唆に富んだ言葉があり、コンサルティングを通して実際に数多くの案件に取り組んで来られた方ならではの言葉と感じました。

自分も、60代でのゴールデンタイムを迎えられるように、まずはこの50代後半の準備をしっかりと進めようと改めて考えた次第です。

 

● 物語(ストーリー)で語る効用

この本で、相続・事業承継と並んで参考になったのが、「物語で語ることの効用」です。

登場人物が具体的、詳細に描かれていて、単に相続などの手続き論やメリット・デメリットを説明するのではなく、どんな悩みがあり、それがどのように解決できるのかを実感できるので説得力があります。

また、必要な知識は、ストーリーの中では前述の城所税理士が必要最低限の内容を語り、巻末に著者が解説を加えるという構成で、物語の流れを乱さずに相続・事業承継の知識を得られるという点でも大変参考になりました。

このように、分かりやすいだけでなく、自分も行動に移そうと伝えた相手に思ってもらえる工夫が必要なことを改めて感じた次第です。

その観点からは、知的資産経営報告書の価値創造ストーリも、文字通り「ストーリー=物語」で語ってみると効果的かも知れませんね。

 

● 引退、定年を意識している方、相続・事業承継を支援する立場の方へ

同書は、引退や定年を意識し始めて「さて、何をしたら良いのか、どう調べたら良いのか」と考えている方や、

相続・事業承継を支援する立場から、顧客にどのように説明するかを考えている方にお薦めできるかと思います。

また、専門的な知識を伝えて、相手に行動を起こしてもらうコミュニケーションの方法という点でも参考になるものと考える次第です。

「相続の6つの物語 資産を使って楽しく生きる「自遊自財」
(本郷尚著 日本経済新聞社)

ソフトカバー版

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