九州電力とレーベルゲートの協業にみるAIとプラットフォームビジネス

●レーベルゲートと九州電力が家庭向け新サービス開発で共同検討開始

2017 年4月24日に、レーベルゲートは九州電力との過程向け新サービス開発での共同検討を開始したことを公表しました。

https://labelgate.com/information/pdf/LAG_Infor_170424.pdf

九州電力はエネルギー自由化の中で、お客様を確保するための
家庭向けサービスとして、
IoTサービス基盤上において様々な家電
機器やエンターテイメント機器を最新のインターフェースで統合的
に操作したり、IoTサービス基盤上の蓄積データや各種センサー
情報をAIで学習させることでお客さまのお好み設定や生活に役立つ
アドバイス等の実現を目指しているとのことで、

同社のお客様とのインターフェースの一つとして、レーベルゲートが
運営するmoraのハイレゾ通信プラットフォームを利用するものです。

この協業にともない、九州電力では、4月25日から5月28日の間に
福岡市内の各地で、IoTを活用した家庭向け新サービスの体験
イベント「九電未来の暮らし体験イベント」を開催しているとのことです。

http://www.kyuden.co.jp/press_h170424-1.html

● 自由化とサービス競争

首都圏でも、昨年度の電力自由化、今年度からのガス自由化に伴い、
既存の電力会社やガス会社、新規参入の企業が異業種と組んで、
サービス開発に乗り出していることは、新聞等のニュースでも
頻繁に目にするところですね。

電気やガスは、それ自体の品質は一律で、差別化は困難なことから、
これらのエネルギーを提供する企業自身のブランド力(信頼性など)
と、エネルギー供給に付随するサービスで差別化を図ろうとしています。

九州電力の例も、自社の電気のお客様の確保がメインの目的可と思
いますが、今回のサービスを新たな収益源としても計算に入れている
のか、サービスの価格設定などが気になるところです。

● 価値創造プロセスとマーケティングフローの中で知的資産を考える

今回のサービスでは、九州電力が持つ、スマートメーター等から
得られるお客様の電力消費データや、その分析結果が同社の知的
資産であり、またレーベルゲートとの協業も知的資産の一つである
関係資産に相当するかと思います。

一方で、レーベルゲートが提供するハイレゾ通信のプラットフォーム
では、同社のコンテンツや配信環境の構築・運営に関わる知見が
レーベルゲートの知的資産を含む経営資源ということになりますね。

IoT、AI、ビッグデータを利用していく事業で他社と協業する場合
に、お客様への提供価値の創造プロセスと、その価値をお客様に届け
るマーケティングフローを構築するうえで今後さらに重要性を増す
のが、お客様とのインターフェース部分ではないかと思います。

今回のレーベルゲートと九州電力の協業は、そのインターフェース
という部分で、電力とエンターテイメントという異業種が互いに
知的資産を含む経営資源を補完する事例であり、
かつ、AIやIoTを利用するうえで、プラットフォームの活用が
非常に重要になってきたことを示したものと考える次第です。

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