知的財産推進計画2017にみる今後のAI活用施策の方向
● 知的財産戦略本部が知的財産推進計画2017を発表
5月16日に、首相官邸で知的財産戦略本部を開き、「知的財産推進
計画2017」を正式決定しました。(同本部長は、安倍首相です)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20170516.pdf
本文は、180ページもあるので、
以下の構成表で、全体像を押させておくと良いかと思います。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/170516/siryou1.pdf
知的財産推進計画2017構成表より
中小企業の知的資産経営ついては、以下の章が関連が深そうです。
I-1 データ、人工知能の利活用促進
による産業競争力強化に向けた
知財制度の構築
・データ利用の契約ガイドラインの策定
・不正競争防止法改正(データの不正取得
等の禁止等)
・著作権法改正(柔軟性のある権利制限規定
の整備)
II-2 地方・中小企業による知財活用と産学・産産連携の推進
・中小企業への知財意識の普及啓発、知財を活用した海外展開支援
・産学連携の橋渡し・事業化支援
また、今後この計画にそって、各省庁がどのような施策を打っていく
のかについては、以下の工程表にまとめられています(こちらも
98ページもありますが(汗))
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/170516/siryou3.pdf
未経験者でも農業を行えるようにAIで支援する「スマート農業」も、その分野の方々には関係してくる施策かと思います
その他、た知財教育・知財人材育成の推進として、
・新学習指導要領における知財教育の充実
・「知財創造教育推進コンソーシアム」(各都道府県に2020年までに
設置)によるカリキュラム・教材開発
なども採り上げられています。
● 自社の事業領域にチャンスがないか?
上記の計画に沿って今後出てくる施策に対して、まずは自社の
チャンスにつながるものがないか、チェックする価値があると
思います。
例えば教育の施策で、自社の提供しているシステムやサービスに
関連するものがないか、
農業など今までは関係なかった領域で、IoTやAIあるいはその周辺
技術などで参入できる機会がないかを考えることは、事業拡大や
新規事業の立上げの助けになりますね。
● 知的財産の権利保護はどんな影響が?
IoTやAI関連の知的財産に関する法制度については、
いまだIoTやAI関連の権利と保護の関係は明確でなく、施策も遅れ
がちというのが正直な印象です。
事業を行う側としては、施策の方向・スピード感と、実際の事業の
変化のスピードとの乖離に注意が必要ですね。
ただ、大きな流れをつかむうえで、今回の計画は参考になると思い
ますので、自社の知的資産の保護と活用、さらには他社の知的資産
との競合のリスクを検討する良い機会になるのではないかと考える次第です。