契約の電子化やテレワークに考える、生産性向上におけるプロセス分解と全体俯瞰の両立の重要性と実現方法

【今日のポイント】

電子契約やテレワーク対応等による生産性向上への取り組みが、分野・業界を問わず進み、そこに新たな課題も浮かんで来ています。

新型コロナ下で環境変化への対応の素早さが要求される中、プロセス分解と全体俯瞰の両立をきちんと行える仕組みづくりの必要性もまた高まっていると考える次第です。

 

契約の電子化やテレワークに関する最近の動き

新型コロナ下での契約の電子化や、テレワークに関する最近のニュースを以下にいくつがご紹介いたします。

・オープンで透明な不動産売却を実現。「RENOSY スマート売却」開設

2020/6/16に、株式会社GA technologiesは表記のプレスリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『【本件のポイント】
・アナログな取引プロセスをシステム化。オープンで透明性の高い不動産売却を実現
・電話での物件確認業務などを最大90%効率化し、高付加価値サービスを可能に
AI価格査定から「売却か、貸し出しか」の検討、新たな住まい探しまでワンストップでサポート』

⇒このようなサービスへのニーズの背景として、プロセス分解による効率化と全体のフローの理解によるプロセス間連携の円滑化が必要なことが挙げられるものと考える次第です。

同社は、不動産関連業務のデジタル化という分野で、その活動範囲を広げていることが以下のプレスリリースからも窺えるかと思います。

『約5秒でデータ化!AIによる不動産の販売図面自動読み取りツール「ブッケンSCAN!」を86日に提供開始』

・ コロナ後は経験が複利で増える時代 年収も広がる格差

2020/7/14 NIKKEI STYLEに表記の記事が掲載されていました。

『リーマン・ショック後にフィンテックが大きく伸びたように、コロナショックもまた大きな変化を生み出そうとしています。

特に影響が大きいのが仕事と人との関わり方。経験と成長を軸に変わる働き方は、収入の増え方にも大きな影響を与えます。』

『経験の複利』との表現に、リモートワークにおける組織内での知見やスキルの共有化の課題も影響しており、個人だけでなく組織の課題と考える次第です。

● GitHub解析でエンジニア転職とエンジニア組織の生産性向上を支援するFindyが総額7.7億円を調達? 大企業・ベンチャーのDX・プロダクト開発を独自のアルゴリズムを用いて強力に支援

2020/8/3に、GitHub解析によるエンジニアスキルの見える化をコア技術に、エンジニア転職とエンジニア組織の生産性向上を支援するファインディ株式会社は、表記のプレスリリースを公表しました。

『エンジニアのスキルおよび企業の魅力度を見える化する独自アルゴリズムを核に、20175月より「Findy転職」、20182月より「Findy Freelance」を開始。20204月からエンジニア組織の生産性自動診断・生産性向上サービス「Findy Teamsβ版を提供しております。』

⇒この組織のスキル可視化が進むと、ノウハウ許諾や技術支援などの取引にも活用が広がるのではと予想した次第です。

また、個人のスキルから組織のスキル可視化というミクロからマクロへ、またその逆の方向のサービス開発の例としても参考になるかと思います。

・ 規制のサンドボックス制度に係る実証計画を認定しました METI/経済産業省)

2020/8/6経済産業省は表記のプレスリリースを公表しました。

gooddaysホールディングス株式会社が行う、「電子契約システムを用いたマンスリーマンション事業に係る定期借家契約書面の作成に関する実証」に関する新技術等実証計画を認定しました。』

(中略)

『本実証計画では、借地借家法において、書面によってしなければならないこととされている定期建物賃貸借契約(以下「定借契約」という。)を、電子的な手段を用いて作成し印刷した書面を用いて行った場合でも、同法により保護される賃借人の利益が損なわれることがないかを実証します。』

⇒借地借家関連契約の電子化の試み。法規制、行政側からの電子契約推進に期待する次第です。

● ClipLine株式会社、リモート主体の勤務に移行しオフィスを縮小移転 「協調行動の場」をオフィスの理念とし、組織での生産性向上を目指す

2020/9/2に動画で組織実行力を高めるマネジメント支援サービス「ClipLine」を提供するClipLine株式会社は、表記のプレスリリースを公表しました。

 

『リモートワークは感染症対策になるだけでなく、通勤や身支度を省略することによる物理的な時間削減やストレスの緩和につながり、業務の生産性向上に寄与していると言えます。

一方で、雑談を中心としたコミュニケーションの場が失われたことで、孤独感を感じやすくなったり、チームワークを醸成する機会が減るなど、新たな課題も露呈していました。

そこで、リモートワークによる個人の生産性は維持しながらも、組織の生産性向上のためにオフィスの形態を変える決断をし、コラボレーションスペースを中心とした、新オフィスを構築しました。』

⇒業務内容やコミュニケーションの要否で場所の方をカスタマイズする試み。
今後のテレワークの一つの方向性と感じます。

また、オフィスに限らず、新型コロナを今までの環境や設備、制度の位置づけを見直す機会と捉えることで、新たな気づきも得られると感じる次第です。

 

全体俯瞰とプロセス分解を繰り返しながら改革を進める

上記の一連の記事からは、

「生産性向上における全体俯瞰とプロセス分解を繰り返しながら改革を進める必要性は、新型コロナ化でも変わらない」ことを改めて感じさせられます。

中小企業残業規制の開始にみる、バリューチェーン全体での取り組みの必要性と、法規制変化時のビジネスチャンス』
でもお伝えしましたように、法規制などの外部環境の変化は各種契約面でも非常に重要な考慮事項ですが、契約に限らずバリューチェーン全体を俯瞰してのリスク管理とビジネスチャンス発見の視点が不可欠となります。

また、
『マイクロソフトの週休3日制に考える、バリューチェーン全体での働き方改革の重要性』
でご紹介した、マイクロソフトジャパンの週4日(週休3日)のトライアルのように、ICTなどを使った業務効率化、コミュニケーション改善などを自社に導入する際には、バリューチェーン全体での取り組みが重要になってくるものと考える次第です。

上記のように、契約の電子化や、テレワークなどの働き方改革においても、社内だけでなく、バリューチェーン全体の工程をプロセス分解して自動化・外注などを考える事と、また各プロセスを統合して全体とし整合性を見ることが必要なことは、新型コロナ下でも変わらず、むしろスピード感が増す中で、きちんと実行するという課題は増大していると感じています。

社外のバリューチェーン競争も想定して、自社の軸をぶらさない生産性向上策をビジョンから逆算して考える

また、以下のトピックスのように、自社が、外部のバリューチェーン間の競争に巻き込まれることも増えていく事が予想されます。

『製薬業界のビジョン策定にみるAIICTが引き起こすバリューチェーン間の競争の予測方法のヒント』
AI・IoTなどの新技術が既存の業界の変容を促すことは既に明白になってきているかと思います。

新旧のバリューチェーン同士の競合が進む中で、どちらの側に立つにせよ、自社や自分たちの業界が、どう変わろうとしているのか、どの様な価値を顧客や社会に提供しようとしているのかを市場や取引先、社会に示し、理解を得るためのビジョン策定と提示がますます重要になってきているかと思います。

現在だけでなく、将来ありたい姿、社会や顧客に提供したい価値(ビジョン)からの逆算の双方が必要となってくる中で、

ビジョンを起点に全体俯瞰とプロセス分解のサイクルを回し、その動きを可視化して社内外と共有するツールとして、経営デザインシートや知的資産経営報告書の活用をお勧めする次第です。

 

 

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