大成建設や山梨県の取り組みにみる、IT人材の幅の広がり

【今日のポイント】

IT導入における人材の確保はほとんどの企業にとって共通の課題ですが、その対応方法には、社内育成、外注、社外専門家と現場の仲介者を社内に作るなど、複数の選択肢が出てきています。

選択肢が増えるほど、IT導入で目指す事と課題設定が更に重要性を増してきていることが窺えます。

建設現場のICT化は「弊害」との闘い、大成建設の田辺氏

2019/10/10の日経×TECHに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『建設会社はどのように最新技術を取り入れ、デジタル化を進めていくべきか――。
大成建設建築本部建築部企画室ICT業務改革推進担当の田辺要平チームリーダーは10月9日、東京ビッグサイトで開かれている「日経 xTECH EXPO 2019」で講演し、建設会社が現場のICT化を進めるうえでの注意点について、同社の業務システム再構築の取り組みを例に挙げて紹介した。』

大成建設のICT化への取り組みに関するインタビュー記事。
以下のように、3つの課題に注力したと述べています。

『1つは「業務システムの運用手間を減らすこと」。機能向上のために作業所Netに新しいサービスを次々と追加していくと、それだけサブシステムが増え、運用の手間も増えることになる。
(中略)

2つめは「デジタル化の弊害を最小限に抑えること」。例えば、現場に看板やポスターなどで掲示していた情報をタブレット端末内での表示に変えていく取り組みを進めると、伝えたい内容が端末でしか確認できなくなり、誰に情報が伝わったのか分かりにくくなるといった「弊害」が生じる。弊害による影響を極力なくすような対処が必要だ。

3つめは「作業所Netの再構築における技術力の補完」だ。システムの再構築は外部のシステム開発会社などに委託することになる。しかし、開発会社の提案の良しあしを見極めるのは専門家でないと難しい。そこで、田辺チームリーダーは信頼できる社外の専門家に自社のアドバイザーになってもらうなどして技術力を「補完」。プロジェクトを円滑に進めたという。』

2番めの課題については、「デジタル化の端末=スマホやタブレット」と短絡的な対応をせずに、実情に合った導入方法を工夫する視点から、

3番めの課題への対応は、専門家とユーザーの仲介者の重要性と、ICTの弱点の克服の双方の視点から参考にすべきものかと思います。

IT×「地方」で自分らしく働く人を増やす。山梨県都留市のまちづくり団体と同市内ベンチャー企業が()富士通ラーニングメディアと連携し「都留IT人材育成講座」を201911月にスタート。

地域ITベンチャー企業のC-table株式会社は、2019/10/10に表記のリリースを公表しました。

『[C-table株式会社]
「IT人材不足」と「地方での仕事不足」を同時に解決する為、山梨県都留市のまちづくり団体と地域ITベンチャー企業が(株)富士通ラーニングメディアと連携した「都留IT人材育成講座」をスタートします。

(中略)

<IT講師チャレンジコース>
2019年11月に開講する「IT講師チャレンジコース」は、(株)富士通ラーニングメディアのIT講師として活躍できる人材を育てるコースです。IT人材の不足が叫ばれる中、IT教育に関する市場も拡大しています。受講者は、当講座を通じて「ITスキル×講師スキル」というユニークなスキルを身に着けることができます。

そして、毎年4~6月に実施される(株)富士通ラーニングメディアのIT新人研修の講師という、付加価値の高い仕事を優先的に行うことできます。』

IT人材の幅が講師・教育者にまで広がっています。

同社のIT講師チャレンジコースのサイトはこちら

『「IT×地方×あなた」で新しい働き方にチャレンジ!』
というキャッチフレーズで、ITスキルを軸に、「「都心と田舎2拠点」で働く」、「リモートワークで働く」というキャリア(ライフ)スタイルを提案しています。

自社に必要なITIT人材の確保方法の選択肢が広がる

人材育成、特にIT人材の育成と確保は、多くの企業にとって喫緊の課題ですが、

その方法としては内部育成、外注に加えて、外部専門家による社内教育の他に、

先日の『コニカミノルタの介護データ活用サービスにみる、現場と新技術の仲介者の重要性』のトピックスに見るように、

社内に IT講師や育成者、アドバイザーを育てるという方法とそれを支援するサービスも出てきています。

人材確保の選択肢は増えており、中小企業にとってもIT利用時の人材問題対応の選択肢が広がっていることが窺えます。

知的資産経営のSWOT分析でも、人的資産と関係資産の維持・強化においては、上記のような複数の選択肢を踏まえて考えることが必要となってきています。

そこでは、ITで何を実現したいのかという目指す姿の明確化と、課題設定とが今後更に重要になってきます。

そのためには、知的資産経営報告書のSWOT分析による自社内外の状況把握と、価値創造ストーリーによる将来ビジョンと課題の明確化が有効な手段となるものと考える次第です。

 

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