新規ビジネスを考えるヒント>人口減少の中、社会インフラの統合化・集約化で出来る隙間
【今日のポイント】
供給側の過当競争による航空会社の経営破たん。一方で需要減少による地方銀行や公共バスの統合も進んでいます。
需要と供給のギャップの中で、供給の縮小が生む「隙間」を埋めるという視点を使うことも、社会課題の解決という新規ビジネスを考える一つの方法と考える次第です。
2019/4/5の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。
アイスランドの格安航空会社の経営難からの運営停止に関するトピックス。低価格の航空会社LCCの競争環境はかなり厳しいことが窺われます。
今後は航空会社の倒産や経営統合などによる再編が進むことも予想されますね。
日本では、2019/3/31の西日本新聞の社説に表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。 改行は筆者挿入、以下同様)
『長崎県の地銀、親和銀行(佐世保市)を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が4月1日に経営統合し、1年半後の2020年10月に両行が合併して十八親和銀行が誕生する。
地元長崎でのシェアは圧倒的で、存在感はグループの福岡銀行、熊本銀行のそれを上回る。』
長崎県の銀行統合により、地元長崎県で最大規模のシェアとなる十八親和銀行の誕生を報じたものです。
公正取引委員会も、以下の記事にみるように、地域の社会インフラの維持のため、地方銀行やバス会社の統合について、独禁法の適用対象外とする方向で検討を進めています。
「地銀やバス、統合促す 独禁法審査に例外規定」
2019/3/4 日経新聞
● 社会インフラの需給調整に対する行政介入
WOWの苦境にみるLCCの競争激化は、供給側(参入者)が過剰なこと、
逆に、日本の地方銀行やバスといった社会インフラの方は、人口という需要側が減少したことが、需要と供給のアンバランスを生んでいるわけですが、
需要と供給のアンバランスという構造としては共通するものがあるかと思います。
そして、日本の公正取引委員会のように、交通機関、金融機関、地域医療などのインフラの維持のために、企業統合などを促進する行政の介入が拡大してくる様子が窺えます。
人口減少対策としての統合化・集約化は、金融機関に留まらず、公共交通機関など他の業界でも進んでいくものと思いますが、コンパクトシティのような社会整備と、ウーバーの様な新規ビジネスの創出にどのような影響を与えるのか、注目していきたいと思います。
● インフラの統合・集約化で生まれる隙間
上記のような社会的なインフラが統合・集約されていく場合、コンパクトシティのような抜本的な都市・地域構造の変革を伴わない場合には、インフラのユーザー等にとって、何らかの「隙間」が生じる可能性があります。
前回の「新規ビジネスのヒントを探る方法〉「ポテンヒット」を探す」
では、プレーヤーの事業領域や利害関係から、守備範囲に隙間が存在する際の「ポテンヒット」についてお話しましたが、
今回のように、インフラの統合・集約化という供給側の変化に、需要側(バスのユーザーなど)の対応が追いつかないことで生まれる「隙間」、「ポテンヒット」も今後増えていくことが予想されます。
少子高齢化や人手不足への対応、供給側が縮小していく傾向(これには、例えば宅配便の運送サービスやコンビニの営業時間等も含まれますね)が新たな隙間を生み、そこを埋めるためのビジネスチャンスも新たに生まれてくるものと予想する次第です。
例えば、コンビニの営業時間が短縮されれば、買い物だけでなく宅配便の受け取りや公共料金の支払いなども影響を受けるので、そこで宅配ボックスやスマホ決済などが貢献できるチャンスになりますね。
御社の事業領域では今後どのような「隙間」が生まれてくると予想されるでしょうか?
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