翻訳サービスの多言語化にみるラインアップの拡充方法
【今日のポイント】
みらい翻訳の多言語化と法務部門向けのサービス提供によるラインアップ拡充の方法。
自社の強みを複数の軸で広げていく手法は、他業界においても参考になるものと考える次第です。
● TOEIC960点レベルの機械翻訳サービスMirai Translatorに高精度・高セキュリティの多言語サービスを追加提供
2019/9/27 機械翻訳サービスを提供しているみらい翻訳は、表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『株式会社みらい翻訳(みらい翻訳、本社: 東京都渋谷区、代表取締役社長: 栄藤 稔)は、機械翻訳サービスMirai Translatorにおいて、自社運用エンジンにより「高精度」「高セキュリティ」の多言語サービスを2019年10月1日(火)より提供開始します。
現在提供中の日本語⇔英語、日本語⇔中国語(簡体字)に、新たに23言語ペアを追加することで、日本企業が翻訳で利用する言語方向の約97%を網羅することが可能です。
また本多言語サービスは、仏SYSTRAN社の機械翻訳エンジンを統合し、全提供言語を日本国内サーバで自社運用するため、翻訳データ処理が日本国内で完結します。
これにより、企業のクラウドサービス利用時のセキュリティ要件や各種情報保護規定へ対応します。翻訳精度においても、深層学習による機械翻訳技術により高精度なサービスを実現しました。』
個別の言語の使用頻度は低くとも、いわゆるロングテール戦略で顧客接点を確保する上で有効な方法かと思います。
● TOEIC960点レベルの機械翻訳サービス Mirai Translatorにおいて分野特化の「契約書・法務モデル」を提供開始 | みらい翻訳 | イノベーティブな機械翻訳
2019/9/3には、同社は表記のリリースも公表しています。
『機械翻訳サービスMirai Translatorにおいて、契約書や法令等の専門分野翻訳に特化した「契約書・法務モデル」を2019年9月3日(火)より提供開始します。
契約書に代表される法務文書は難解な専門用語と複雑な長文を含むため、これまで機械翻訳での適切な翻訳処理が難しい分野であるとされてきました。
このたび、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の協力を得て開発した「契約書・法務モデル」により、契約書等の法務文書における翻訳精度を、従来から高い評価をいただいていたビジネス向け機械翻訳(汎用モデル)と同様の実用レベルまで向上させました。』
言語の種類とその適用先の双方でのラインアップの拡大略。
市場拡大戦略としても参考となるものと思います。
● コアの強みを活かしたラインアップ拡充
みらい翻訳の強み(特色)は、同社の以下のサービス紹介にも記載されているように、顧客ごとのカスタマイズサービスにあるかと思います(クラウド型は、他の翻訳サービスでもかなり標準的になっているかと思います)。
『みらい翻訳は、精度向上を目的としたお客様ごとの対訳データによる機械翻訳エンジンのチューニングサービスとともに、クラウド機械翻訳サービスを提供します。』
自社の強みを活かしてラインアップ(適用先、市場)を拡充する手法としては、
『コマツとfreee各社のアライアンス戦略にみる、課題設定の重要性』
や
『freeeの民泊開業支援システムにみる自社の知的資産活用先の広げ方』
などでご紹介した、会計ソフトを提供するfreeeの、アライアンスを活用した市場拡大戦略と共通するものがあるかと思います。
また、顧企業の多言語化や、特定の業務向けのラインアップ拡充により、顧客生涯価値を高めていく方法は、
『リクルートのスタディサプリにみる顧客生涯価値の高め方』
でご紹介した、自社ブランドの強化と並行して進める手法にも通じるものがあるかと思います。
●中小企業のラインアップ拡充
上記のような、自社のコアの強みを活かしつつ、品揃えを複数の軸(みらい翻訳では多言語化と法務のような適用分野)で拡充する手法は、リソースの限られている中小企業ではなかなか困難な面もありますが、
企業との事業提携の他に、スキルシェア等の外部資源を活用することで、ラインアップを拡充していくことは実現性が高い方法の一つです。
商品の品揃えと適用先の拡大のマトリックスで考え、提携により弱みを強みに変えていくことも、事業環境の変化が激しい現在、必要な視点となってきます。
他社連携におけるボトルネックを押さえるという点では、やはり自社の強みとその裏付けとなる知的資産をきちんと把握して置くことも重要ですね。
その意味では、知的資産経営報告書で、自社の知的資産を把握することが、戦略的な提携とラインアップ拡充拡充に有効と考える次第です。
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