三菱電機の「骨紋」にみる、新しいデータ・情報源による商品改善と新規市場開拓

【今日のポイント】

三菱電機が開発したAIでカメラ映像から特定の動作を自動検出する作業分析ソリューション「骨紋」。

骨格の動きという新しい情報源を開発することで、自社の商品(生産性向上ソリューション」の改善や新規市場の開拓を図る事例としても参考になるかと思います。

● AIでカメラ映像から特定の動作を自動検出する「骨紋」を開発

2019/10/9に三菱電機は表記のリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『三菱電機株式会社は、当社AI技術「MaisartR(マイサート)※1」を用いて、カメラ映像から人の骨格情報を抽出・分析し、特定の動作を自動検出する作業分析ソリューション「骨紋®(こつもん)」を開発しました。

生産現場の作業者の動きをカメラで撮影するだけで作業内容を認識・特定し、作業時間や作業ミス・無駄を自動検出することで作業分析を効率化でき、生産現場の生産性向上に貢献します。』

「骨紋」は三菱電機の登録商標ですが、「指紋」や「声紋」などとの共通点もイメージさせ、かつ興味を誘うネーミングですね。

この骨紋は具体的には、以下のようにして、生産性向上に貢献するとのことです。

『1.映像から作業時間や作業ミスを自動検出し、作業分析工数を 10 分の 1 に削減

・カメラ映像から抽出した 2 次元の骨格情報を AI で分析し、作業内容を 90%の精度※2 で特定

・特定結果から作業時間や作業ミスを自動検出し、監督者による作業分析工数を 10 分の 1※2 に削減 ・作業者にセンサーを付ける必要が無いため、作業者に負荷をかけない作業分析を実現

※2 当社工場による検証結果

2.作業者の動きの課題を見える化し、異なる監督者でも標準的な作業改善が可能

・「動作経済の原則※3」に基づき骨格の動きを分析することにより、目視では見逃しがちな無理・無 駄などの体の動きの課題を自動検出して見える化

・監督者ごとの経験によって異なる課題抽出レベルを標準化し、属人性を排除した作業改善が可能

※3 動作研究の先駆者であるギルブレス氏が提唱した、疲労を最も少なくして有効な仕事量を増やす、人間のエネルギーを効率的に活用するための約 30 項目からなる経験的な法則』

映像から人の骨格情報を抽出・分析し、特定の動作を検出する作業分析技術の開発。

新しい情報源が新規の知見とその活用に繋がる事が窺えます。

以前、『三菱電機の動作分析支援AIにみる分析と比較のユキピタス化の活用方法』
でお伝えした

AIによる製造現場での行動分析技術を開発した三菱電機。作業の安全確保、生産性向上など「行動のみえる化」が貢献することが期待されています。

さらに、データ取得手段が多様化し、個々人の活動データを継続的に得られる様になっているため、その分析結果の適用先も今後さらに広がっていくものと予想する次第です。

 

既存の通信インフラと新しいインターフェースの組み合わせ

『富山県黒部市の在宅高齢者を対象にしたサービス提供の実証実験に「LINE WORKS」を提供 ~黒部市社会福祉協議会・NICT・日新システムズが推進する「くろべネットICT利活用プロジェクト」に協力~』

2019/10/16にビジネス版LINE「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社は表記のリリースを公表しました。

富山県黒部市の在宅高齢者を対象にしたサービス提供の実証実験に「LINE WORKS」を提供 〜黒部市社会福祉協議会・NICT・日新システムズが推進する「くろべネットICT利活用プロジェクト」に協力〜

『取り組みに際し、日新システムズが開発した「高齢者とつなぐしくみ」とは、スマートフォンなどの操作が困難な後期高齢者でも、簡単な操作で支援者とつながることができるICT機器で、直感的に操作できるボタンとカードで構成されます。

利用者が「身の回りのことを助けてほしい」、「暮らしや福祉のことで相談がしたい」、「外出がしたい」などのニーズが記載されたカードを機器にかざしてボタンを押すと、黒部市社協に通知がなされます。

黒部市社協は通知を受け取った後、利用者へ折り返し電話を行い、より詳細なニーズをヒアリングし、具体的なサービスを提供します。』

LINEと高齢者。専用端末と電話の併用でスマホのインフラを活用する取組かと思います。

『ケーブルテレビによるオンライン診療にみるインターフェースの多様化と既存インフラの活用』

で、ジュピターテレコムによる、国内初のケーブルテレビを利用したオンライン診療の実証実験と同様に、

オンラインサービスのインターフェースが多様化する中で、ユーザーに馴染みが深く、普及しているテレビという既存インフラの活用もまた自社の顧客接点を広げるうえで有効な選択肢となりえることを示しています。

 

新しいデータの入り口、情報源を開発することによる商品改善と新規市場の開拓

AI搭載のIoTシューズにみる「データーの入り口」の広がりと「出口」の関係』
でお伝えしたように、

ユーザーとのやり取りに置いて、

データの入り口が広がることは、データ=「インプット」とその種類が広がることを意味しており、データを適用したサービスなどは「アウトプット」に相当します。

このインプット⇒プロセス⇒アウトプットという流れにおいて、今回の「骨紋」のような新しいデータの情報源を開発することで、新しいアウトプット=新規サービスや顧客提供価値が生まれてくることを表しているかと思います。

自社の既存のデータだけでなく、今回の「作業社の骨格の動き」のように新しいデーターを利用することで、自社が誰にどんな価値を新しく提供できるかということを考える切っ掛けにもなる事例と考える次第です。

 

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