キャッシュレス化によるデータ利活用と債務増加に考える、リスク管理とビジネスチャンス

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【今日のポイント】

キャッシュレス化は新型コロナ対応やデジタル化の進展で世界規模で進んでいますが、消費者債務の増加への対応などの課題もまた生じています。

利便性の向上やユーザーデータ活用とセキュリティやプライバシー保護などの両立の課題への対応が求められると当時に、そこにはビジネスチャンスも生じるものと考える次第です。

【目次】

1.キャッシュレス化による債務増加
2.国家財政含めて、債務増加への目配りが必要になる?
3.キャッシュレス化、ペイレス化によるビジネスチャンスとリスク管理

1.キャッシュレス化による債務増加

新型コロナによる非接触化の後押しも受けて、キャッシュレス化やペイレス化など、決済のデジタル化は各国で進んでいますが、そこでは、従来のクレジットカードと同様に、消費者の債務増加の問題もまた増えてくることが以下の記事からも窺えるかと思います。

『債務に悪影響を及ぼす「BNPL」モデル The ‘BNPL’ model is bad for debt』

2021/8/20の1日5分ビジネス英語の記事。
『BNPL』はBuy Now、Pay Later(今買って後で支払う)の略ですが、新型コロナでECが盛んとなっている中でクレジットカード払いに限らず、後払いのサービスが広がり、その中で消費者の債務超過も深刻化していることを採り上げています。

日本でも、以下の記事に見るように、キャッシュレス化が進むにつれて、消費者の債務の管理が複雑化したり、無駄遣いが増えるリスクなども指摘されています。

『『多重債務問題のいま』
国民生活 2021年4月
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『普及に伴い、次のような点も問題になってきています。

第一に、前記のように支払時期によって3つもタイプがあるためにうまく使いこなしたり、管理したりできないと、いつ口座から資金が引き出されるのか、また請求されるのかが分かりにくくなります。』

 

2.国家財政含めて、債務増加への目配りが必要になる?

上記の、個人レベルだけでなく、国家財政も含めて債務増加の状況は悪化していることが以下の財務省のサイトなどや、多くのメディアが報じています。

『日本の借金を諸外国と比べると』
財務省サイトより。

『日本の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にあります。』

上記サイトのグラフをみると、たしかに日本は高水準ですが、他国も2019年から債務増加に転じており、新型コロナが財政に悪影響を与えている様子が窺えます。

『コロナ危機のビフォー/アフター』
2020/7/1の公益社団法人 日本経済研究センター「第 47 回 中期経済予測 速報(2020 年7月1日)」

これらの記事からは、

「官民の借り手と貸し手の連鎖が国境を越えて複雑に絡み合う状況が進み、ブロックチェーンなどのトレーサビリティや分析関連の技術が、パンドラの箱を開ける」可能性も否定できないと感じます。

 

新型コロナ対応で各国とも実体経済は(製造業は復活傾向、観光業は停滞の様に、業界によっても差はありますが)不振の一方で、行政の財政支出は増加しています。

 

民間、各国政府の債権と債務のプレーヤーと金融手法が複雑に絡み合い、実態がわかりにくくなっている様子からは、2009年のサブプライムローン問題の際の状況を思い出しました(貸し借りに加えて、その保証(保険)の金融スキームが国を超えて連動し、連鎖的な金融危機につながる可能性も考えられるかと思います)。

 

仮想通貨や通貨バスケットなど複数のスキームが併存する新しい通貨体制が出来る可能性が高まってきたようにも感じる次第です。

参考記事〉

『日本のコロナ対応策の特徴と課題- 国際比較の視点から見えてくるもの -』
NIRA オピニオンペーパー No. 57 | 2021 年 5 月(公益財団法人 NIRA 総合研究開発機構)

 

『フィンテックに関する現状と金融庁における取組み』
金融庁 2017年2月

 

また、株価も含めて、金融情勢は、集団心理の影響を強く受けるため、
危機的な上昇が見えない事自体が、潜在的なリスクを増大しつつもその顕在化を抑える一方で、

ブロックチェーンやAIなどの技術も利用して状況を可視化する事が人々の危機意識を目覚めさせて、リスク回避行動を促し、それがリスクの顕在化をもたらす可能性も感じます。

以下の記事など、多くのニュースで目にするように、キャッシュレス化は、顧客データの活用の面も含めて、世界規模で進んで行くものと思われますが、
今回のトピックスのように消費者の債務増大への影響も対応も同時に目くばりが必要と感じます。

『特集 進むキャッシュレス化と暮らし』
国民生活 2019年3月号【No.80】(2019年3月15日発行)

 

3.キャッシュレス化、ペイレス化によるビジネスチャンスとリスク管理

オンライン化や非接触化、利便性向上の面からも、キャッシュレス化、ペイレス化の流れは続き、加速することは間違いないかと思います。

その際に、個人情報やプライバシーの保護に配慮しつつ、いかにデータの利活用ができるかが、生産性向上以外のメリットの活用において不可欠になって来ます。

消費者の債務増加への企業側のリスク対応の面でも、消費者の行動データの利用は必要性が増してくることが予想されます。

制度面含めた対応の動向を見つつ、自社への影響を予測し、リスク管理と顧客提供価値の伝え方や新しい価値創造のヒントを探る事が重要と考える次第です。

 

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