ルーフレスの高級車~基本機能と付加価値の逆転+ニーズの多様化

【今日のポイント】

高級車メーカーベントレーのルーフレスのコンセプトカー。斬新なデザインからは、移動という基本機能とデザインなどの付加価値の重みがともすれば逆転する可能性の高まりを感じさせます。

基本機能と付加価値両者のニーズの掛け算により、ユーザーニーズの多様化も進み、ニッチな市場にいかに対応するかという視点も重要性が増すものと考える次第です。

【目次】

1.ルーフレスの高級車
2.移動手段における基本機能と付加価値の逆転
3.量産商品のコンセプトモデル化とその対応

1.ルーフレスの高級車

2021/8/23に高級車メーカーのベントレーモーターズジャパンは以下のプレスリリースを公表しました。

『ベントレーマリナーの手でバカラルとブロワーの最初の顧客向け 車両が完成』

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『ベントレーマリナーは、最高峰のハンドクラフトによるビスポークプロジェクトの新シリーズの2モデルの最初の顧客向け車両を完成させました。
各車両はそれぞれ12台のシリーズの最初のもので、バカラル・カーワンはマリナーの新しいコーチビルドのバルケッタのお客様へのデリバリー第1号となります。

一方、ブロワー・カーワンは、ヘンリー・ティム・バーキン卿の1929年製スーパーチャージド4.5リッターをミリ単位の精度で機械的に再現したもので、世界初の戦前のコンティニュエーションシリーズの最初の顧客向け車両となります。』

 

ベントレーのそれぞれ12台のみ製造される2種類のコンセプトカー「バカラル」と「ブロワー」シリーズの1台目が完成したことを報じたものです。

「バカラル・カーワン」の1台目については複数のメディアでもそのルーフレスかつバックアップミラーもついていない斬新なデザインについて報じていますが、写真や画像を観ると、たしかに近未来的で、注目されるのも納得と感じた次第です。

 

また、同社の以下のプレスリリースなどからも、デザインを重視する姿勢が70年以上に渡って続いており、同社のDNAとなっている事が窺えるかと思います。

『マリナー・ヘリテージカラー: クルーでの70年にわたるデザインを記念』
2021/10/6のベントレーモーターズジャパンのニュースリリース。

 

 

2.移動手段における基本機能と付加価値の逆転

今回の記事と、以前の本ブログでご紹介した、日産のオフィスボックス付きバン、新型コロナ対応として、どこにも行かない飛行機やクルーズ船のアトラクション的なサービスアウディの変形する自動車などの記事からは、

「移動手段などの基本機能と付加価値の重みの逆転が起き、車など商品のコンセプトモデル化も進む」事が予想できるかと思います。

上記の記事は、デザイン、旅行気分や居住性、オフィス機能などが移動という基本的な機能以上に重視される市場が存在していることを示しているかと思います。

MaaSのように、シームレスな移動だけでなく、移動の目的(買い物、観光など)にも対応したサービスと連動することが求められていることは、上記の車や船などの移動体自体にもサービス化が広がっていることと連動しているかと感じます。

また、電気自動車の充電設備でも、デザインや環境性など、充電機能以外の付加価値で差別化を図る動きが出ている所に、自動車産業のプレーヤーも含めた変化が進んでいくことを予想できるかと考える次第です。

『全国初となるEV自動車充電器メーカー初のデザイン拠点「PLUGO DESIGN CENTER(プラゴデザインセンター)」設立』
2021.09.14 プラゴのプレスリリース。

 

3.量産商品のコンセプトモデル化とその対応

上記のように、付加価値の方が重視されるようになると、基本機能毎のユーザーニーズの場合分けから、

「移動に関するニーズ(時間、費用など)の場合分け×付加価値(デザイン、オフィス機能など)の場合分け」というニーズの掛け算によって、ユーザーニーズの多様化も促進され、多品種少量生産によって実際に販売される自動車のコンセプトカー化も進むのではないかと考えています。

 

これは、車に限ったことではなく、スマートフォンのような通話×ネット端末×カメラ住宅の生活×仕事×趣味やコミュニケーションといった、機能毎のニーズの場合分けの掛け算が起きる場合には同様の現象が起きる可能性が高いかと思います。

 

このように、求められる機能の複合化、サービス化によるニーズの多様化が生じる可能性と、その対応を自社商品に置き換えて考えることは、既存市場への対応と新規市場の開拓の両面から重要性を増すものと思いますが、その対応を考える際には、自社の現在の知的資産だけでなく、予想した多様化されたニーズを満たすために必要な知的資産から逆算して、人材、ブランド、取引先等の知的資産の構築戦略を建てることも必要と考える次第です。

 

参考トピックス>

●『日産の「オフィスポッド」にみる、「個(ソロ)x」の普及と、新市場のヒント』

●『劇場のゲーム転用にみる、リアル施設・インフラの転用機会の拡大』でご紹介した、『JALも実施「どこにも行かない遊覧チャーター」 強みは何? 「赤組」には超朗報も』
2020/9/26の乗りものニュースの記事。

 

●『人型ロボットとコンセプト発信力』でご紹介した、『アウディの新しい形を変える車 Audi’s new shape-changing car』
2021/09/02の1日5分ビジネス英語の記事。

『アウディは最近、形を変えるコンセプトカーを発売し、彼らはそれをアウディスカイスフィアと呼んでいる。最高の技術を駆使した2ドア電気自動車である。

スカイスフィアには、人間駆動モードと自動駆動モードの両方がある。』

 

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