未来予測と、バックキャストでの課題設定の連携方法は?

【今日のポイント】

未来予測からのバックキャストによる現在の課題設定は、イノベーションや事業改革において必要性を増しています。

VUCAの時代にはその予測と課題についても仮説⇒検証のサイクルを素早く回す仕組みづくりが求められていると考える次第です。

 

【目次】

1.未来予測関連のニュース記事
2.未来予測からのバックキャストで現在の課題を考える
3.PDCAあるいはトライ・アンド・エラーからフィードバックによる仮説検証の繰り返し

 

1.未来予測関連のニュース記事

不確実性の高いVUCAの時代、先日ご紹介した「SF思考」などの未来予測への関心が高まっていますね。

未来予測の手法と、未来予測の利用に関する最近のニュースを以下に記載いたします。

 

企業・団体向けにデジタルヘルスケアサービス
「フォーネスビジュアス(Fones Visuas)」のサブスクリプションモデルを提供開始~未来予測を起点とした従業員の生活習慣の管理/改善により、健康経営を支援~

2021/9/29フォーネスライフ株式会社とNECソリューションイノベータ株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『生活習慣病リスクの高い従業員など、検査や改善が必要と思われる方を対象に血液を採取し、検査日より4年以内の疾病の発症リスクを予測する検査()を提供します。
また、所属する従業員に、AIクラウドサービス「NEC 健診結果予測シミュレーション」および「生活習慣フォロー・改善アプリ」を提供します。』

⇒現在の状況から、4年以内の健康リスクを予測し、改善のためのソリューションを提供するとのこと。
将来予測からのバックキャストによるソリューション提供の事例としても参考になると考えるとともに、個人データの課題と活用の双方の面からも今後の展開に要注目と感じた次第です。

※>「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

~世界初 未来のシワを予測する数理モデル※1 を応用~
顔写真から「今日」と「5 年後」、「10 年後」未来のシワレベルを予測する WEB サービスを開発

2021/10/11株式会社コーセーは、表記のプレスリリースを公表しました。

『「今日」、「5 年後」、「10 年後」の 3 つの時間軸におけるシワレベルを 07 で予測し、予測と同じレベルのシワイメージを表示。

さらに、将来のシワ発生リスクを 6 段階で分析し、4 つの肌タイプに分けて表示します。これらの結果に基づき、最後に、今からできる最適なお手入れ方法をご提案します。』

7年間蓄積した膨大な肌データを活用して開発した数理モデルを利用しているとのこと。未来予測からの逆算の利用として、保険等の他業界と比較しても参考になるものと考える次第です。

同じ様に、顔写真から年寄り、若返りの画像を作成するアプリFaceAppとの技術面、応用面双方での違いにも興味を惹かれます。
FaceAppのアップルストアでのプレビューはこちら

 

ひび割れ点検支援システム「VIS&TFC」を開発、販売開始
~画像処理により、ひび割れ検査作業の効率化と精度向上を実現~

2021/9/30NSW(日本システムウエア株式会社)は表記のプレスリリースを公表しました。

『東京理科大学小島研究室(理工学部土木工学科 地球環境工学研究室)の特許を利用し、ひび割れ点検支援システム「VIS&TFC(ビスアンドティーエフシー)」を開発しました。』

⇒先日の和歌山市で発生した水道用橋の崩落事故など、社会インフラの老朽化は大きな問題となっていますが、これらインフラ保守メンテの効率化と言う課題への画像処理技術利用という点と、大学の特許の活用事例という点の双方から興味を惹かれた次第です。

 

 

 

 

2.未来予測からのバックキャストで現在の課題を考える

上記の事例などからは、
社会や市場の未来予測⇒予測した未来社会と自社のビジョンを突き合わせて、自社の未来像を作る自社の未来像と現在とのギャップ把握と課題の設定⇒実行計画という流れは、業界を問わず、今後の事業計画の立て方の中で大きな位置を占める事が予想できます。

以下の記事は、現在だけでなく、今後の社会や業界、市場動向を見据えて対応の準備を始めている事例と捉えることも出来るかと思います。

 

調理ロボットのTechMagicCRISPがサラダ調理ロボットの共同開発を開始
~「作業」と「接客」の分離で、より高い顧客体験を実現~

2021/10/4にテクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むTechMagic株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

『カスタムサラダレストランCRISP SALAD WORKSのモバイルオーダーアプリや店頭KIOSKと連動して最大287万通りのカスタムサラダを自動で供給するサラダ調理ロボットの開発・実装を目指し開発契約を締結しました。』

株式会社CRISPが運営するレストランで、モバイルオーダーとの連携や、品質の安定化と提供スピードの高速化「人」が接客に集中することによる創造性の向上などを図るとのこと。

ロボット導入を機会とした業務標準化の促進という点で、他のDX導入時の目的や課題とも共通するものを感じる次第です。

 

 

次世代リチウムイオン電池の商業化に向けた共同開発契約締結について

2021/9/24株式会社東芝、双日株式会社、CBMMは表記のプレスリリースを公表しました.

3社は20186月に、NTOを用いたリチウムイオン電池負極材の共同開発契約を締結し、東芝研究開発センターが中心となり開発を進めてきました。
この度、試作セルの開発を完了し、商業化に向けた量産プロセスの確立および早期の市場投入に向けて、さらなる協業を進めるに至りました。』

NTOはニオブチタン系酸化物の略で、3社は、EV向けを想定して、高エネルギー密度でかつ急速充電可能なリチウムイオン電池の商業化を目指していることです。

最近のEVというニーズ(利用側)の普及が、リチウム電池というシーズ側の開発の背中を押し今後さらに新たなニーズや適用先を生む、ニーズ⇒新たなシーズ⇒新たなニーズというサイクルが回っていることが窺えるかと思います。

 

ブロックチェーンを活用した契約事務のデジタル化に関する連携協定を長崎市と締結
~ 契約事務手続きの効率化、新型コロナ感染症対策など、自治体DXを推進 ~

2021/9/27東芝デジタルソリューションズ株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

『本協定の目的は、当社が構築する、データを安全かつローコストに管理可能なブロックチェーンのプラットフォームを活用して、電子契約システムにおける契約事務手続きの効率化、新型コロナ感染症対策として接触機会低減などを図るものです。

⇒同社では、約20年間培ったクラスタ技術をベースに開発したブロックチェーンエンジンを利用とのこと。

ブロックチェーン技術は電子契約以外でもトレーサビリティや認証関連の分野で適用が進んでいますが、上記のようにブロックチェーンを利用する技術開発や、その技術適用の際に、自社の今までの開発成果を利用するなど、
ブロックチェーン適用と、そこに自社ならではの付加価値を付けることの双方で、既存の知的資産との組み合わせが、独自商品・サービス開発のために必要である事を示す事例かと感じた次第です。

 

なお、社会課題については、令和2年度科学技術白書も、その第1章で未来予測への取り組みとその利用状況、第2章では実際に2040年の未来予測例を-科学技術が広げる未来社会-(Society 5.0と題して紹介しています。

 

経営デザインシート自社の未来像からバックキャストして現在の課題を明確にするツールですので、未来予測とは深い関係がありますね。
これらのツールを使うことで、逆に取引先や社会全体の現在だけでなく今後まで視野を広げる機会を作ることも必要になってくると考える次第です。

経営デザインシートの詳細はこちら
『経営をデザインする(知財のビジネス価値評価)ー首相官邸サイトー知的財産戦略本部』

 

 

3.PDCAあるいはトライ・アンド・エラーからフィードバックによる仮説検証の繰り返し

1でご紹介した未来予測の手法とその利用や、2でお話した未来予測からバックキャストにより現在の課題を設定することに加えて、

設定した課題に取り組んで行く際に、対象が不確実性の高い未来予測に基づく課題ですので、取り組んでいる間にも、PDCAやTECA(トライ・アンド・エラー⇒チェック⇒アクション)等のマネジメントサイクルを、今までよりも細かい周期で素早く回して、仮説構築と検証をくりかえす必要性が高まっている事が、以下のニュース記事からも窺えるかと思います。

 

Chatworkとマツリカが業務提携
Chatwork DX相談窓口」の提案サービスとして新たにクラウド営業支援ツール「Senses」の提供開始

2021/10/5Chatwork株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

この度「Chatwork DX相談窓口」を介して「Senses」を提供することにより、現場担当者の入力作業や顧客管理の負担なく、受注に繋がる活動に専念できる環境と、データ分析に基いた効率的な営業活動の仕組みを作り出します。』

⇒同社は複数の他の企業とも業務提携を進めていますが、社内外のコミュニケーションツールを軸とした事業展開は、事業提携を活用した自社の強みの多用途化という点で参考になると感じます。

また、AIが営業の成功・失敗事例を解析』するところは、PDCAにビッグデータとAIを適用する事例としても参考になるものと考える次第です。

 

i Smart Technologies、新サービス「IoT経営ダッシュボード」リリース開始

2021/9/22i Smart Technologies株式会社は表記のプレスリリースを公表しましたPRTIMES_JPより)

IoTデータを用い、生産金額・ロス金額など経営的なKPIで問題点のある製造ラインを抽出・可視化し素早い対策実行を可能にする新サービス「IoT経営ダッシュボード」をリリースしました。』

⇒製造数、稼働状況などに加えて、製品ごとの単価設定による金額換算での可視化を可能にしたとのこと。

リアルタイムでの現場の可視化と把握はデータとその分析が欠かせませんが、そこにエンゲージメントやスキルなど、「人」の要素をいかに入れていくかも課題と感じる次第です。

 

上記のように、PDCATECAのサイクルを回すうえでは、事象や課題の可視化が不可欠となりますが、今後はAIIoT等の活用によるリアルタイムでの分析結果の提示や、人手では不可能なデータ量の分析などが進むことで、更に速く、広い視野での仮説検証が可能になってくるかと思います。

そうして得られた仮説検証結果を、自社のビジョンや将来像と共に共有する仕組みづくりもまた重要性を増してくるものと考える次第です。

御社では、どのような「将来像を描いて仮説検証を回す仕組み」を作っていらっしゃるでしょうか。

 

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