米アマゾンやトヨタの知的財産に対する課税にみるリスクマネジメントの難しさ
● EU当局、米アマゾンに約2.5億ユーロを追徴課税へ
2017年10月5日のヤフーファイナンスに上記の記事が掲載されていました。
(引用は「」でくくります。 改行は筆者挿入、以下同様)
「ECの調査によると、アマゾンはルクセンブルグ政府が03年に導入した特別減税措置(課税最低限)の適用を受けることで合意したことを受けて、04年に欧州事業の拠点としてアマゾンEUとアマゾン・ヨーロッパ・ホールディング・テクノロジーズの子会社2社をルクセンブルグに設置した。それ以降、アマゾンEUは毎年、アマゾンの知的財産権を管理するアマゾン・ヨーロッパにライセンス使用料の対価としてロイヤルティ(知的財産権の使用料)を支払い続けることでアマゾンEUの課税所得を大幅に目減りさせ、少なくとも3四半期(9カ月間)にわたって課税を免れたとしている。」
知的財産とタックスヘイブンを用いた節税対策はグローバル企業ではよく行われているようですが、そこにECの手が入ったということのようです。
https://m.finance.yahoo.co.jp/news/detail/20171005-00441811-mosf-world
また、トヨタも、「海外企業への支払いの一部は「知的財産の使用料」――。ラリーカーの開発費をめぐり、トヨタ自動車が名古屋国税局から指摘を受け、追徴課税された。」と2017年10月13日の朝日新聞デジタルが報じています。
http://digital.asahi.com/articles/ASKB54W01KB5UTIL028.html?rm=301
こちらは、少なくとも意図的に行ったものではなく、税務当局との解釈の違いのようですが、各国の知的財産制度や税制度の違いやその変化に適切な対応を取らないとリスクを抱えることを示唆するケースではないかと感じました。
● 法規制を「知らない」リスク
国内で事業をしている企業、特に中小企業では、今回のような記事はあまり自社に関係ないと思われるかも知れません。
しかし、自社自身は関わっていなくとも自社の取引先やお客様が海外の法規制のリスクにさらされて、それが巡り巡って自社にも影響を及ぼす可能性は、グローバル化の進展につれて、今後は増えて来るのではないかと考えられます。
たとえば、自社の社員が米国に出張して、そこで何かの発明をした場合、米国の特許法では、原則として、まず米国で出願し、そこから6ヶ月立たないと、日本など他国では出願できないという規定を持っています。
また、米国の輸出管理規制は、米国からの輸出だけでなく、米国から輸入した物品を第3国に再輸出する場合にも規制を掛けていますので、日本には輸入できても別の国にその物品、あるいはその物品を組み込んだ製品などを米国が規制している国に輸出することは禁じられているので注意が必要になります。
このように、自社の事業リスクに影響する法規制は多岐に渡ってくるので悩ましいですね。
● 自社で扱えないリスクを扱うための関係資産
上記の記事のように、トヨタやアマゾンでさえ、関連する法規制を全て把握して適切に対応することは困難ですので、中小企業が自社に影響を及ぼす法規制などを全て把握して手を打つことは至難の技ですね。
従って、適切な専門家(税理士、会計士、行政書士、弁理士など)の支援を仰ぐことは、今後ますます必要性が増してくるかと思います。
そして、コストをなるべくかけずに、かつ適切なタイミングで専門家に相談できるようにしておくためには、行政や業界団体の支援も含めて日頃から関係を構築しておくことが必要であり、このような支援者・アドバイザーを重要な関係資産として、知的資産経営の中に位置づけておくことをおすすめする次第です。
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