アイリスのTV販売にみる、成熟商品の新規市場掘り起こし
【今日のポイント】
アイリスオーヤマが成熟商品であるTV市場に参入。
ホームセンターという販売チャネルとすぐに音声入力できる商品という戦略に基づく取り組みです。
顧客の購買行動と使用方法に基づいて既存商品や販売チャネルをワンストップサービスの視点も含めて見直すことが新規市場の掘り起こしにつながっている事例と考える次第です。
2019/11/14の日経ビジネスに表記の記事が掲載されていました。
(筆者:中山 玲子氏 日経ビジネス)
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『アイリスオーヤマは11月13日、1年前から試験販売していたテレビについて、本格販売を始めると発表した。
家電量販店を主な販売場所とするパナソニックや日立製作所といった大手家電メーカーとは対照的に、アイリスは家電量販店に加え、ホームセンターでも販売する。
もともと生活用品メーカーからスタートしたアイリスは、ホームセンターを主な販売場所としてきた歴史がある。
家電量販店以上に来客頻度が高いと言われるホームセンターで、テレビ需要を掘り起こす試みだ。』
アイリスオーヤマのリリース(2019/11/13)はこちら
『テレビ事業 本格参入 業界初 音声操作リモコンに話しかけるだけの簡単操作 「音声操作 4K対応液晶テレビ」』
『当社は、無線LAN環境、スマートスピーカー、スマートフォンの専用アプリケーション(アプリ)を設定することなく、設置直後から音声で操作できる4K対応液晶テレビ「音声操作 4K対応液晶テレビ」7機種を2019年11月20日から順次発売し、テレビ事業に本格参入します。全国の家電量販店、ホームセンターを中心に販売し、初年度5万台の出荷を目指します。 』
スマートスピーカーのTV版とも言えるかとおもいます。
ホームセンターという、家電製品顧客の購買行動と使い方で、ニッチな市場をターゲットにした同社の戦略は、ワンストップサービスの場の選択と言う面からも興味を惹かれる所です。
● 顧客の購買行動、使用方法への着目
ホームセンターと言う顧客の購買行動から見たターゲットの絞り込みとワンストップサービスの提供という方法は、
『ケーブルテレビによるオンライン診療にみるインターフェースの多様化と既存インフラの活用』の中で、
2016/07/27電通のサイト「電通報」の『イギリスのテレビ放送サービスの展開に見るメディアトレンド」』が伝えている、英国は高画質ではなく多チャンネル化の方向ということに加えて、画像を見るデバイスとしてスマホやPCだけでなく、TV受像機も他チャンネル化と高画質化により、無料ネット配信の利用デバイスとしてよく利用されている事例について、
高齢者にはパソコンよりもTV受像機の方が馴染みやすく、使い易いことは容易に想像がつくところであり、対象とするユーザーの使い方や購買行動に着目すれば、既存インフラの活用も可能になることをお話しましたが、
TV受像機の利用を情報収集のワンストップサービス化と捉えれば、今回のアイリスオーヤマのホームセンターというユーザーの日用品購入のワンストップサービスとも共通していると言うことができます。
● 自社の商品や知的資産の新規適用先を顧客起源で考える
上記の通り、顧客の使い方(TPO)から自社の市場と商品を見直すと新しい商品やサービスだけでなく、既存のサービスやインフラの活用のヒントも得られるものと思います。
このように、自社の既存の知的資産の活用と、新規市場と言う新しい関係資産の構築の組み合わせは、効率的な新規事業や新規市場への展開という成長戦略の視点からも検討の選択肢に入れることをお進めする次第です。
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