公正取引委員会の秘匿特権導入に考えるリーガルのグローバル化の影響
● 企業の「秘匿特権」初導入へ 公取委方針、独禁法改正に筋道
2018/9/3の産経新聞に表記の記事が掲載されていました。
https://www.sankei.com/smp/affairs/news/180903/afr1809030001-s1.html
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『談合やカルテルなどの疑いで調査を受けた企業が弁護士とのやり取りを秘密にする「秘匿特権」について、公正取引委員会が実質的に認める方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。
公取委は証拠隠滅に悪用される恐れがあるとして導入に消極的だったが、自民党や法曹界が求めたため、秘匿特権を委員会規則に盛り込む。
日本では初めて認められることになり、秘匿特権導入をめぐる攻防で議論が停滞していた独占禁止法改正の布石となりそうだ。』
と、欧米では普及している、企業と弁護士のやり取りを裁判等の証拠として採用することから除外する秘匿特権の導入が進む方向となっています。
企業が談合などの違反行為を公正取引委員会に自主申告した場合に課徴金が減免される課徴金減免(リーニエンシー)制度の見直し(更に効果を上げる方向への変更)を進めたい公正取引委員会の方針とも合わせて、今後の改正動向には要注目ですね。
● 法制度(リーガル)のグローバル化、共通化
上記の議論でも、欧米の法制度との共通化、整合性の確保が、秘匿特権導入の主要な論拠になっていますが、各国の法制度が共通になると、企業活動においても海外展開のリスク低減に繋がります。
すでに、特許法などの審査基準は日欧米で共通化が進んでいますし、だいぶ前になりますが、米国も従来の先発明主義から先願主義に切り替えています。
中国の場合は、貿易管理条例などの強行規定がネックになっていますが、
「空飛ぶ車の促進政策に見る予測可能性の重要性」
https://wp.me/p9D2bS-GF
でもお伝えしたように、特に新規技術や新規産業において、規制緩和による国際競争力強化というのは一つの流れなので、技術開発力の向上に力を入れている中国においても今後は何らかの規制緩和が図られることも考えられます。
● 法制度のグローバル化は海外との競争促進
上記のような流れにおいて法制度のグローバル化が進むということは、逆に海外企業との競争が進むということでもあります。
従って、国内だけでなく、海外の同業他社や、自社商品に利用できる技術やサービス、あるいは自社商品を代替する技術やサービスの開発にも目を配る必要が出てきます。
リアルタイムに幅広く情報を取っていくことは中々難しいですが、
技術開発ならば、特許情報の収集、グーグルアラートでのキーワードを利用したニュース情報の収集、自社の関連する業界の海外におけるメールマガジンなどの利用(例えば、米国のエネルギー政策ですと、米国エネルギー省が分野別にニュースレターという形で定期的に情報発信しています)にトライすると共に、技術士、弁理士などの専門家の力も借りて、アンテナを張っていくことを検討されてはいかがでしょうか?
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