NPOの障害者就労支援に課税との国税見解にみる「法制度解釈」のリスク
● NPOの障害者就労支援に課税 国税見解に不安広がる
2018/3/5の朝日新聞DIGITALで表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『NPO法人による障害者向けの就労支援について、国税庁が「原則、収益事業で納税義務がある」との見解を示した。全国の小規模作業所に不安が広がり、課税を不服として争う法人もある。作業所などの全国団体「きょうされん」(事務局・東京)は近く、国税庁長官に撤回を求める。』
https://www.asahi.com/articles/ASL327KRPL32PTIL01Y.html
国税のNPOの障害者向け支援事業に対する課税対象との見解とそれに対する業界団体の反応を伝えています。
これは、2017年7月に国税が公表した以下の見解に関するものです。
「NPO法人が障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う場合の法人税の納税義務について」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/18.htm
特定非営利活動促進法により設立された特定非営利活動法人であり、法人税法上の公益法人等に該当するNPOが、障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを、利用者に対して提供する場合の課税義務に対する問い合わせに対して、
『原則、法人税法上の収益事業に該当し、法人税の納税義務があります。』
と回答しています。
● 法制度の「予測可能性」の重要性とリスク
以前、「中国副首相の外資呼び込みに関するコメントにみる、「予測可能性」の重要性」
https://wp.me/p9D2bS-m9
で、中国が海外の資本だけでなく、技術やビジネスの専門性も呼び込むべきであると考え、その方策として『予測可能なビジネス環境を整える』と表明したことをお伝えして、自分が把握している「リスク」を明確にしておく(=自分が把握していない「リスク」がありえることも十分意識しておく)ことの重要性をお話しましたが、
今回のNPOへの課税については、複数の税務署から問い合わせが有ったとのことから、行政自身でも判断に困るような事例が起きているということが伺えます。
● ビジネスと法制度解釈
AI・IoTの利用やビッグデータを扱うビジネスでは、知的財産面の法制度の遅れから相対契約での対応が必須となっています。
しかし、今回のようにビジネスとして成立している場合でも、法制度の解釈によって影響を受けるというように、
社会課題に対応するビジネスを新たに展開する場合でも、関連する法制度の解釈によっては課税その他の規制を受けるリスクが出てきます。
さらに、現在行っているビジネスにおいても、法制度の解釈が変わって、思わぬ課税や規制などを受ける場合も出てきかねないということになりますね。
企業としては、税理士や、弁護士、弁理士、さらには業界団体などと相談しながら、現在進めているビジネスや検討しているビジネスが抱える法的リスクの把握を行うことが必要であることを改めて示唆した事例かと思います。
そして、外部の専門家に相談する際のツールとして、既に行っている事業では、それなりの資料が(特に上場企業の場合は)揃っているかと思いますが、
将来想定しているビジネスについては、事業計画書や中期経営計画などと並んで、知的資産経営報告書も有望な資料の一つとなるものと考える次第です。
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