欧州の著作権法の変化に考える「コンテンツ取引、データ取引」での立場の違い

契約 M&A 事業提携

● 欧州連合が提案する著作権改正で引かれた戦線

2018/7/11の1日5分ビジネス英語では、表記の題で、
欧州における著作権法の改正に関する記事を掲載しています。

https://www.wisdomsq.com/contents/bepod/20180711.html

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『新しい「第11条」の主な意図は、音楽、映画、ニュースなどのクリエイティブなコンテンツの制作者が、彼らの仕事で適切に支払われることを保証することである。これはインターネットを介してデジタルコンテンツの使用が普及する中で、さらに重要度が増している。』

と、オンラインでのエンターテイメント系コンテンツの配信に関する著作権者の保護強化に向けた法改正と、賛成・反対のそれぞれの立場に立つプレーヤーの例が記載されているのですが、

オンラインでコンテンツを配信するプロバイダーはライセンス料や課税の負担から反対するのは当然ながら、

アーティスト間でも賛成する人と反対する人に別れているという点に興味を惹かれました。

● オンラインコンテンツ市場での立場の違い

今回のような、著作権者保護の強化という、著作者全体が恩恵を受けそうな規制においても評価が異なるのは、オンラインコンテンツ市場での新規参入者と既にブランドを確立した者とでは、著作権保護に対する態度が異なるところも影響しているのではないかと感じます。

これからオンラインでのコンテンツ市場に参入する側としては、市場に入りやすく、自身のコンテンツが潜在顧客に届くことが重要になってきますし、

既にブランドを確立し、固定客を獲得している側にとっては、海賊版などの取締強化が自分にとっての利益になるという点で、同じコンテンツ作成者といっても、法規制に対する立場を変えることにつながってくるかと思います。

そして、これはエンターテイメントのコンテンツ市場だけでなく、AI・IoTにおけるデータ取引の規制や契約にも通じることではないかと思いました。

 

● 持っているデータ量・質の違いが有む立場の違い

AI・IoTのデータ取引について、データを提供する側、それを受けて分析・利用する側のそれぞれの立場から、取引の論点を詰めて契約等を進める必要があることは、先日ご紹介した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」
http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180615001/20180615001.html
にも記載されていますが、

同じ「データ提供者」といっても、既に多くのデータを持っている、あるいはAIに関連するデータ取引を既に始めているプレーヤーと、これからデータを集める、あるいはAIによる分析を依頼するためにデータ取引を始めるプレーヤーとでは、データの受領者(分析する側)に求めるもの、懸念点などが異なってきます。

今後AI・IoTを利用するシーンは、中小企業でも増えてくるものと思いますが、自社が上記のどちらの立場か、相対的に把握しつつ、規制や契約ガイドラインなどを見ながら契約や取引を進める必要があると改めて感じた次第です。

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