AI・IoT時代における「感性」と「美意識」

● 汎用AI時代を福音に変える「美意識革命」のすすめ

この2017年12月に、独立行政法人経済産業研究所から、藤 和彦 (上席研究員) の表記のレポートが公表されました。

https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/17120007.html?id=nl
(引用は「」でくくります。 改行は筆者挿入、以下同様)

『30年後に汎用AI(人工知能)の実用化により人間の労働の大半が失われる』との懸念が高まりつつある。18世紀後半の産業革命で多くの雇用が失われ雇用状況が改善したのは30年後以降であり、汎用AI時代到来でも同様の事態が起きる可能性があるからだ。このため需要の大幅減少を防ぐために「ベーシックインカムを導入すべき」との声が上がっているが、市場での交換(有用性)を前提としている経済社会のあり方(「働かざる者食うべからず」という価値観)が根強く、日本での導入は非常に困難である。
(中略)
社会に先駆けてAIの挑戦を受けた将棋界の羽生善治は「AIにない人間の特性を『美意識』だ」と指摘するが、汎用AI時代ではAIが創造できない身体(生命)性に立脚した「美」が希少性を有するようになるのではないだろうか。

筆者は脳科学などの知見(美の判断を報酬系部位が行う、美は「正義」の感情を惹起するなど)や最近の若者の動向(地下アイドルの隆盛、1億総オタク化、インスタ映えなど)、「美意識」が日本にとって社会秩序の要だったことにかんがみ、今後「知識社会」が「美意識社会」に変化していくと考えるに至ったが、「知識」が社会に普及するにつれてその性質を変えたように、「美」のあり方も変わっていかなければならない。」

と、AI・IoTの新技術やSNS等のコミュニケーション方法の変化に伴い、
「知識社会」から「美意識社会」に今後社会は変化していき、更にその「美意識」も時代に合わせて変化していく必要があると提言しています。

 

● 「美意識」は有用な「資源」

藤氏は、美の在り方として、以下の7つを挙げています。

「(1)個別作品(モノ)よりも人々の行動(コト)の中に美を見出だす
(2)美の効用は身体動作を通じた生命エネルギーの活性化である
(3)美で社会を活性化するためには日々の精進が欠かせない
(4)美の創造は天賦の才よりも個々人の努力が決め手となる(美的創造の平等性)(5)「自らの生理的な『快』を求めながら他者への配慮をする」という日本本来の美意識(身体感覚に敏感)を重視する
(6)動的な美(特に歌と踊り)が有する社会秩序形成機能を活用する
(7)美意識は有効な資源であるとの発想に立ち、潜在的に市場性を有する美の活動を拡大させる方策を講じる(特に美的活動に目覚め始めた若者の動きを支援する)」

この中でも、
・モノよりコト(人々の行動)の中に美を見出す

・美意識は有効な資源であるとの発想に立ち、潜在的に市場性を有する

の2つは、行政の産業政策の点からも、企業の経営戦略の点からも重要な示唆を含んでいると思います。

以前、「AI、ITの時代でも消えない職業・資格とは?」
https://wp.me/p8EI7Z-7f
でお伝えしたとおり、
人の感性に根ざしたニーズを満たす仕事や資格は、技術的にはAI・IoTで代替可能であっても、今後も人に提供してもらいたいものとして残っていくと思われます。

 

● 今後も残る知的資産、価値が増す知的資産として「美意識」を捉える

「モノ売りからコト売りへ」
というのは、マーケティングで良く見聞きする言葉ですが、
「コト売り」を美や感性という視点から捉えることと、
顧客の美意識と「美」を提供する側の美意識の双方が貴重な資源となっていくというのは、AI・IoT時代において重要な視点だと思われます。

お客様や社会の「感性」、「美意識」を捉え、その変化を予測する「人材」、そのような意識付けを行う仕組み(目標設定、評価)や、そこで把握した感性や美意識に関する知見を自社の事業や計画に反映する「仕組み」をAI・IoT時代に自社が生き残るための人的資産、構造資産と考えて、構築していくことが、自社の強みの維持と強化につながるものと考える次第です。

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