感覚をもつ人工皮膚の開発にみる、技能伝承など知的資産の取得・利用の変革の可能性

手 感覚

【今日のポイント】

触覚を再現する人工皮膚の開発が進んでいますが、このような感覚技術は、オンライン技術と組み合わせることで、活用先が大きく広がることが予想出来ます。

この技術分野の動向は、知的資産経営においても、今後の技能伝承や、社内外の人材活用などを検討する際に考慮すべき要素として、ウォッチしておくことをお勧めする次第です。

 

触覚を再現した「電子皮膚」、スターウォーズから着想

2020/8/4のロイターに表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『[シンガポール 3日 ロイター]シンガポール国立大学で触覚を再現できる「電子皮膚」が開発中だ。義肢を装着した状態で物体の確認、感触の認識にとどまらず、温度や痛みまで感じられることを目指している。』

⇒記事では、スターウォーズの主人公(ルーク・スカイウォーカー)が人工の義手を取り付けて、感覚を取り戻した様なシーンから着想を得たとのこと。
SFやファンタジー、映画や漫画などのエンターテイメントコンテンツが研究開発テーマの着想の種になる事を改めて感じた次第です。

 

この人工皮膚の開発は、2020/8/2115分ビジネス英語でも取り上げられていました。

『感じることが出来る人工皮膚』

『デバイスは、ACESまたは非同期コード化電子スキンと呼ばれている。

100個の小さなセンサーでできている。

ベンジャミン・ティー氏とシンガポール国立大学の科学者チームは、人工の「電子皮膚」は人間の神経系よりもはるかに速く情報を処理できると主張している。

さらに、人工皮膚は最大30の異なるテクスチャを感じることができ、点字を約90%の精度で読み取ることができる。

この人工皮膚は、2019/7/18のテック・アイ技術研究所のサイトでも紹介されています。

『ロボットや人工義肢のための驚異的な触感覚』

この「触覚や痛覚をもつ皮膚やセンサー」の開発は、以下の記事にもみるように、以前より日本も含めて行われていますが、医療も含めて多くの分野で実用化が望まれている事が窺われます。

 

『日本の研究者は痛みを「感じる」人工皮膚に向けて』

2020/2/18FUTURIPROSSIMOの記事。

『日本の大阪大学の研究チームは、ロボットがいつか痛みを「感じる」のに役立つ人工皮膚に取り組んでいます。

 

『タッチ感じる人工皮膚、米大学が開発』

2010/9/13ITmediaNEWSの記事。

『圧力を感知する人工皮膚を、米カリフォルニア大学バークリー校が開発した。触覚を持つロボットの実現に一歩近づいたといえる。
同校が開発した人工皮膚「e-skin」は7センチ四方の大きさで、015キロパスカルの圧力を感知することができる。これはキーボードのタイピングやものを握るといった日常的な動作で使う力と同等だ。』

 

『なたりくすぐったりを「感じる人工皮膚」入力デバイス、英仏研究チームが開発。スマホに応用?』

2019/10/23engadgetの記事。

『英ブリストル大学と仏ソルボンヌ大学、Telecomm ParisTechの研究チームが、人間の皮膚を模倣した多層構造の人工膜の開発に成功したと発表しました。

この膜は膜は、皮下層、導電性糸の電極層、テクスチャー表面層などで構成され、表面をなでられたり、くすぐられたり、つねられたり、挟まれたりといったことを「感じる」ことができます。』

 

五感のオンライン化が進み、学習・エンターテイメント・技能伝承の提供範囲や対象を拡大していく

上記の一連の記事からは、「五感のオンライン化が進み、学習・エンターテイメント・技能伝承の提供範囲や対象を拡大していく」ことが予想できるかと思います。

 

今回の感覚を持った人工皮膚は、人体の皮膚と感覚を代替することを想定していますが、感覚を電気信号に変換できれば、それをオンライン化し、遠隔で感じることも可能になってきます。

ロボットによる遠隔操作では、かなり昔から触覚の伝達技術の開発が進められていましたが、

何度かこのトピックスでもご紹介した、京セラの触覚伝達技術や、横河電機のセンサー及びそのワイヤレス化技術など、人間に視覚・聴覚以外の感覚を伝える技術開発も進められています。

 

川崎重工などは、人間が感触(触感)を使って行っている作業をAIを利用して加速度等の他の物理現象に置き換えて分析し、技能伝承に利用しようとしています。

また、陶芸などでも技能伝承において触覚の再現の研究開発が進められています。

これら産業用や芸術の分野と今回の医療用の分野や、

以前の本ブログトピックス『仮想美術館にみる、デジタル化によるリアルの価値の再評価でご紹介した、美術館や博物館におけるバーチャル技術活用の取組事例や、

eスポーツの普及問題にみる知財を使ったマネタイズとコミュニティ作りの方法のヒント』等でも取り上げたeスポーツなどのエンターテイメントの分野、

そして、凸版印刷など多くの企業が進めているオンライン教育などの分野それぞれが進めている仮想現実の技術や五感のセンシング技術が相互に転用されつつ、更に開発が進められ、身障者の支援、技能伝承や人材不足解消などの従来の課題解決に加えて、新しい用途も生まれるものと期待を込めて予想する次第です。

 

自社の知的資産のデジタル化、他社の知的資産のオンラインでの取得や自社の知的資産の提供のオンライン化を考える

上記のような技術を用いることで、自社の社内の人的資産(ベテランの経験や知見など)をより効率よく、自社の構造資産(共有の知見や仕組み・システムへの変換)とすることも可能となってきます。

 

特に新型コロナでテレワークなど対面でのコミュニケーションが困難になってくると、オンラインでの技能伝承が必要な場面も増えてくることが予想されます。

 

更に、上記のような五感のデジタル化・アーカイブ化が進むと、「人材バンク」など人が持つ知見・経験やスキルの流通の在り方も、その人自身が対応するだけでなく、その人が持つ「スキル」のアーカイブをコンテンツとして提供する方法・ビジネスやプラットフォームが生まれる可能性も感じます。

 

そうなれば、社外の人的資産のスキルを自社に取り込んで人材育成や構造資産化に利用したり、

逆に自社の人的資産を他社に利用してもらうなど、知的資産の取得、利用、提供の方法にも大きな影響を及ぼしたりする可能性があるため、

この分野の動向は今後もアンテナを張って見ていく必要があるものと考える次第です。

 

【参考記事】

『かつてないほどリアルな触覚を生み出す触覚伝達技術「HAPTIVITYR」』
京セラ

『センシング技術未来への展望』
横河電機

『世界初公開、川崎重工の技能伝承ロボの革新技術 ?? 「人生100年時代に職人技はロボが伝承する」』
川崎重工

『動きを伴う陶芸技能の保存・伝承の試み 名古屋工業大学大学院 授 藤本英雄』
一般社団法人 建設コンサルタンツ協会

『『さわる感覚』を共有する!触覚の情報化と共有活用』
名古屋工業大学

『ニッポンの職人技術をデジタル化する』
2013/11/29テレスコープマガジンの記事。

『凸版印刷、多様な学習体験を統合した新ICT学習サービス「navima」を開発』
2020/8/19凸版印刷のプレスリリース。

 

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