HEMS対スマートメーターの競争に見る割り切りと見極め

● IoTでなくても家電の電力消費量が丸っとわかるサービスの意味

2018/8/26のWEDGE Infinityに表記の記事が掲載されていました。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13611

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『東京電力パワーグリット(以下東電PG)と、インフォメティスが出資し、4月に営業を始めたエナジーゲートウェイ(以下エナジーGW)。安心・安全の電気の運用技術を持つ東電PGとAIによる分析技術に秀でたインフォメティスの強みを合わせた、IoTのプラットホームサービスを提供する会社です。

 その中の目玉サービスが「うちワケ」。インフォメティスの機器分離技術を使った、スマホで家電の現時点の消費電力が分かるサービスです。しかし、このサービス、いろいろな方向性を暗示しているように思います。』

と、スマートメーターから家庭内の各機器の電力消費を分析して、機器ごとに電力の使用状態を可視化するという技術によるサービスを例にとって、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)との対比から、家庭用のIoTのネット接続が前提としているWiFiは多くの情報量を扱える半面、強い電波を必要とするのですべての家電をネットに常時接続するには向かないことや、各家電にWiFi機能をもたせると高コストになることなどを指摘しています。

一方で、スマートメーターは各機器の電力消費を個別に測っているわけではなく、その合計値しか測定できませんが、AIの利用などによって、機器の特性から各家電の使用電力量を割り出すことが出来れば、家電ごとにネット接続する必要はなくなるため、家庭全体ではかなりスリムなシステムの構築が可能になるというわけです。

 

● 割り切りと優先順位

上記のように、いわゆるスマートホームと呼ばれるような家のIoTにおいて、HEMS同士だけでなく、HEMS+WiFiと、スマートメーター+AI(通信接続としては、低電力の無線通信であるLow Power Wide Areaなど)の競争が始まっていますが、

各機器の電力消費の把握においてどのくらいの精度が要求されるのかどこまでコストをかける価値があるのかという費用対効果の視点が重要になってきます。

社会(ユーザー)が求めるニーズが現在はどの程度で今後どう変化していくのか、そのスピードと事業展開(技術開発)のタイミングが合わないと競争には勝つことは難しいですね。

また、エコシステムの視点から、自社の提供するサービス・商品だけでなく、スマートホームならホームシステム全体に関わる関連業界の動向のスピード感も合わせて考える必要があります。

 

● ユーザーが本当に価値を感じるところに集中する

よく、日本製品はオーバースペックだと言われることがありますが、ユーザーが本当に価値を感じているのはどこか(デザイン、利便性、コスト、信頼性など)と、どの程度のレベルでそれを満たせばよいのかという割り切りと優先順位付けがAI・ICTなどの技術動向の予測とともに必要になってきます。

言うは易し行うは難しですが、上記のHEMSとスマートメーターなどの事例を見ながら、自社の事業分野に置き換えて考えを巡らせてみることは、一つの方法と考える次第です。

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