グルメサイトへの公取委調査にみる、取引先のリスクの遡及
【今日のポイント】
公正取引委員会によるグルメ情報サイトの実態調査。
デジタルプラットフォーマーだけでなく、多くの企業でコンプライアンス上のリスクの対象が広がっていることと、取引先のコンプライアンスリスクが自社に訴求することも視野に入れたリスク管理の必要性が窺えるかと思います。
● 公取委、「食べログ」「ぐるなび」などグルメ情報サイトの実態調査へ
2019/10/10のITmediaNEWSに表記の記事が掲載されていました
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『 公正取引委員会は10月9日の定例会見で、「食べログ」「ぐるなび」などを含むグルメ情報サイトの実態調査を始めたと明らかにした。運営会社が顧客の飲食店に不当な契約条件を押し付けていないか調べる。』
同記事では関連して、「食べログ」を運営するカカクコムはが『食べログ』に関する一部報道について」という声明文を発表したことも報じています。
公正取引委員会の10月9日定例会見
(「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の改定案及び「企業結合審査の手続に関する対応方針」の改定案に対する意見募集について)中の、関連する質疑応答部分はこちら
(公正取引委員会サイトから)
『(問) ちょっと全く別の話で大変申しわけないのですが,今,飲食店のポータルサイトの調査を進められていると伺っていますが,どういうところに問題があるかもしれないと見て調査をされているのかをお聞かせ願いますか。
(事務総長) 今,御質問があった点でございますけれども,現在,仰いましたように,飲食店向けのポータルサイトに関して調査を行っているところでございます。
皆さんもお使いになっていると思いますけれども,その飲食店向けのポータルサイトというのが,飲食店の側にとっても広告の手段であり,あるいは予約等を受け付けるためのツールとして,かなり有力なものになっているところで,また,飲食店を利用する側の人たちにとっても便利なツールとして,大きく認知されるようになってきたところであります。
そうした中で,ポータルサイトの運営事業者と飲食店との間の取引関係について,これだけある種,発達・発展してきたところですので,競争法上若しくは競争政策上の問題があるかないのかという実態を把握するために調査をしているということでございます。
もちろん競争法上,競争政策上の問題か否かという観点ですので,何か不当な条件を押し付けているというようなことがないかとか,いろいろな条件を付けて拘束をしていることがないか,そうしたことがこの調査の項目の中に含まれますけれども,そうした問題があるという前提で調査をしているわけではなくて,先ほども申しましたように,現状,どういう実態にあるのかというのを把握するために行っているものでございます。』
カカクコムの声明文のサイト(2019/10/10)はこちら『点数・ランキングと飲食店向けサービスの関係について
飲食店向け有料サービスを含む食べログとの何らかのお取引によって、お店の点数やランキングが変動するということは一切ございません。飲食店向け有料サービスはあくまでお店からの情報発信機能を充実させ集客にお役立ていただくためのものであり、そのご利用の有無が、ユーザーの声を集約した点数・ランキングに影響を生じさせることは一切ございません。
食べログは、様々な取り組みを通じて公正・健全なメディアとして運営を行っております。今後も、ユーザー・飲食店双方のニーズに対応すべく利便性の更なる向上とサービス拡充に努めながら、何よりも皆様の信頼にお応えできるよう、尽力してまいります。』
ことの真偽はともかく、営業代理店などの行為も含めた、評判(レピュテーション)リスクの怖さを感じさせられた次第です。
● 取引先のリスクが遡及するリスク
自社が直接はコンプライアンス上の問題を起こさずとも、下請け、取引先、営業代理店などのコンプライアンスリスクが自社のコンプライアンスやレピュテーションリスクに繋がる可能性は常にあるかと思います。
完全に防ぐことは困難ですが、リスク低減の方策の一つとしての、契約の重要性が増している事を感じる次第です。
また、こういったリスクを可視化・認識するためには、知的資産経営報告書のSWOT分析に、自社が締結している各種契約のリスクや、自社の契約リテラシーも入れてみることや、
価値創造ストーリーの中で、自社事業に関連する取引先等の関係資産を明確にすることで、その関係先が持ち得るリスクと自社の関係を可視化してみることも一つの方法となるものと考える次第です。
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