劇場のゲーム転用にみる、リアル施設・インフラの転用機会の拡大

【今日のポイント】

韓国の映画館で、ゲーマーへの貸し出しなどの新規サービスが始まっています。
既存のリアル物件の他用途への転用は、他業界でも広がるとともに、その方法は、「見えない資産」である知的資産の転用のヒントにもなるものと考える次第です。

【目次】

1.劇場でのゲーム
2.既存のリアル物件・施設の転用が新型コロナで加速する
3.自社や自社が利用している既存のインフラの転用を考える
4.自社が利用していない世の中のインフラの活用を考える
5.自社の知的資産の利活用、転用をインフラの視点から考える

1.劇場でのゲーム

2021/2/2615分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

CGV Cinemasは、ゲーマーに画面を貸し出している。90ドルで、4人のゲーマーは午後6時までいつでも2時間画面を使用できる。6時以降は、価格は135ドルに上昇する。ゲーマーは、自分のゲーム機、ゲーム、コントローラーを持参する必要がある。』

上記は韓国のシネマチェーンの新型コロナ対応ですが、Newsweek2021/3/8の以下の記事で同社のゲーマー向けサービスやお笑い芸人の公演会場としての活用などの生き残り策を報じています。

『韓国シネコン、生き残りかけた挑戦 ゲーマー向け貸切サービスからポップコーンのデリバリーまで』

大画面と高品質の音響設備などの特長を活かした新規サービスへの取り組みは今後も続くものと思われますので、韓国映画業界の取り組みは、他国の映画・劇場だけでなく、同種の特長を備えた施設を持つ業界の参考にもなるものと考える次第です。

 

2.既存のリアル物件・施設の転用が新型コロナで加速する

今回の記事や、以下のような「どこにも行かない体験フライト」「どこにも行かないクルーズ船」などの移動のためではなく、搭乗体験そのもの楽しみを提供する取り組みなどからは、「既存のリアル物件・施設の転用が新型コロナで加速する」様子が窺えるかと思います。

JALも実施「どこにも行かない遊覧チャーター」 強みは何? 「赤組」には超朗報も』
2020/9/26の乗りものニュースの記事。

『シンガポールで同じ港に発着のどこにも行かないクルーズ船が11月からスタート』
2020/10/12BUSINESS INSIDERの記事。

今回の映画館のゲーム用設備への転用は、劇場側の設備を利用するに足るだけの、ゲーム側の高品質化も背景にあるかと思います。

クルーズ船や飛行機の移動を伴わない利用などと、その逆方向として、先日のブログトピックス『日産の「オフィスポッド」にみる、「個(ソロ)x」の普及と、新市場のヒント』でもご紹介した、車のオフィス化など、今までとは異なる用途への転用は、

レストランやファーストフード店のテイクアウト、ドライブスルーなどのサービス提供にも通じるものがあるかと思います。

 

『特設Webサイト「NISSAN CUSTOMIZE 2021」を公開』
2021/1/14の日産の関連リリース。

これらの動きにと同様に、劇場などのエンターテイメントだけでなく、テレワークに伴うオフィスの空き空間の活用など、リアルの物件、施設のコンバージョンが新型コロナにより加速するものと予想した次第です。

 

3.自社や自社が利用している既存のインフラの転用を考える

上記のような、他業界の状況から、通信、オフィス、物流などの自社利用のインフラの利用状況が新型コロナやテレワークなどでどのように変化したか、今後はどう変化するかを想定して、既存事業での利用の要否を考えることは、自社の既存事業の環境変化への対応として必要性が増しています。

 

その際には、自社が利用しているインフラの特徴を上位概念で捉え直して、他の用途に転用される可能性を検討し、その視点から自社事業との関係を見直してみる事も一つの方法かと思います。

 

4.自社が利用していない世の中のインフラの活用を考える

上記の逆で、例えば、休校による学校給食の食材の転用事例なども参考にしつつ、世の中で設備などが余って困っている人の悩みから、自社やその取引先で活用できないかを考えることも、新規事業あるいは既存事業の改革のヒントを得る有効な方法となりえます。

 

5.自社の知的資産の利活用、転用をインフラの視点から考える

上記の各事例のように、設備などのインフラは目に見えるのでその特徴や他への転用なども考え易いかと思います。

 

その検討例を、「みえない資産」である知的資産の転用にも応用してみることは、知的資産の利活用の有効な検討方法となりえます。

まずは人的資産、構造資産、関係資産別に自社事業のインフラ転用に関連付けて、検討してみることから始めてはとお勧めする次第です。

 

 

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当研究所として推薦するものではありませんので、他の選択肢や導入の要否含めて、自社の状況に応じてご検討いただければ、大変幸いに存じます。

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